データサイエンティストの育て方

斉藤史朗 著

データサイエンスやAIが脚光を浴び、多くの企業でデータ分析の部署が新設されている。しかし、人材が集まらない、すぐに辞めてしまう、実績が上がらない等の問題も少なくない。本書は、データサイエンティストの特徴を明らかにし、会社に定着して能力を発揮してもらうためにマネジメント層が行うべきことを述べている。

書籍データ

発行年月 2020年12月
判型 四六
ページ数 192ページ
定価 本体1,500円+税
ISBNコード 978-4-303-72456-6

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概要

本書の読者として私がまず第一に想定したのは、社内でデータ分析を行う部署の管理職を務めていたり、あるいは「これからAI部門を作るから」と言われて、その部署の管理職に内定したような人々です。こうしたみなさんは、自らデータサイエンティストとして仕事をしている、あるいはしてきた人たちとは異なり、そういう立場につくのはご本人の意思では、多分、ないでしょう。入り口では「他人任せ」であったみなさんは、このとりわけ動きの激しい時代において、とても難しい、そしてとても重要な役割を担うことになります。
 今、世の中ではデータサイエンスやAIは、いわばブームとも言える活況を呈しています。ですから、詳しいことはわからなくても、「我が社でもAIやれ」とか、「社内にいくらでもビッグデータがあるだろう。すぐにデータサイエンスをやって業績を伸ばせ」と言う経営者の方々もいらっしゃれば、実際にAIやデータサイエンスを活用して、華々しい業績をあげている新興の会社も数えきれないほど生まれています。
 しかし、実際にみなさんが経験されていることは、AIやデータサイエンスをやれと言われたからデータサイエンスのできる人を集めようとしたけど、なかなか集まらない。また、せっかく採用したのに1年も経たずにやめていく人が続出する。さらには、データサイエンティストを採用したものの、部署全体として機能しておらず、大した実績を上げることができていない、などの数々の困難なのではないでしょうか。
 少し、比喩的なお話をさせてください。
 今の状況は、動物園であれば、「パンダは客が集まるんだって?だったらパンダを買って来い!」というオーナーの号令一下、なんとかパンダを手に入れたものの、「パンダって熊猫っていうくらいだから、「熊舎」に入れておけ」、あるいは、「パンダって、シロクマに黒く色を塗ったようなものだろ。シロクマ舎に入れておけ」ということで、パンダの生態を考えもせずに飼育して、殺してしまっているようなものだと思います。(データサイエンティストの場合、「死ぬ」のではなくて、「やめる」のですが。)
 データサイエンスがこれからの世の中にとって、とても重要であることは確かです。また、だからこそ、データサイエンティストも重要です。しかし、そこで思考が止まっていないでしょうか?データサイエンティストをいくら集めても、集まっただけでは何事かを成し遂げることはできません。彼ら・彼女らに何かをしてもらうには、それにふさわしい環境を整え、また、彼ら・彼女らに仕事をする意欲を芽生えさせ、そして仕事を完遂するようにうまく誘導していく必要があります。
 この役割は、彼らデータサイエンティストにはできません。パンダはいくら人気者であっても、自分が暮らしやすいパンダ舎を「要求」することはできません。
 彼ら・彼女らが存分に実力を発揮するためには、ふさわしいマネジメントが必要なのです。そして、その重要な役目を担うのがみなさんなのです。(後略,「はじめに」より抜粋)

目次

第1章 今はどういう時代なのか

第2章 データサイエンティストは希少生物である
 1 データサイエンスという仕事
  ⑴ 何が問題なのか
  ⑵ データサイエンティストという職業
 2 データサイエンティストとはどういう生き物なのか
  ⑴ フィールドワークから
  ⑵ 生き物としての特徴
 3 希少生物の飼育係として
  ⑴ マネージャー=飼育係の仕事
  ⑵ 希少生物を死なせないという使命
  ⑶ 生物多様性の保護
  ⑷ パフォーマンスを出させるために

第3章 データサイエンティストが生きる環境を整える
  ⑴ 棲処:働きやすい環境とは?
  ⑵ 食べ物:活動(仕事)の原動力
  ⑶ 繁殖:育成に必要なもの
  ■ インタビュー① データアーティスト・山本社長
  ■ インタビュー② DeNA・山田部長
  ■ インタビュー③ 分析屋・廣川社長

第4章 これからどうなっていくのか

プロフィール

斉藤 史朗(さいとう しろう)
1960年生まれ。
1983年 東京大学法学部卒業。舞台やイベントの企画・デザインに従事。
1995年 「ディスプレイデザイン賞」入選。
2001年 金融エンジニアリング・グループ入社。データ分析コンサルタントとして活動。アナリティクス・ラボ室長。
2017年7月 ブレインパッドに転職。エバンジェリストとして活動。
2018年 東京大学人文社会系大学院にて社会学博士の学位取得。
2019年8月より一般社団法人データサイエンティスト協会事務局長。
2019年11月より国立大学法人電気通信大学の特任教授としてデータサイエンス教育に従事,現在に至る。

その他

※本書に関するお詫びと訂正※

 本書カバー(初版分)に掲載しております推薦文のクレジットに下記の誤りがございました。
 柴田暁様、関係各位はじめ読者の皆様にご迷惑をお掛けいたしましたことを深くお詫び申し上げ、ここに訂正させていただきます。

 誤:DataRobot, Inc. チーフデータサイエンティスト シバタアキラ氏
 正:DataRobot Japan CEO 柴田暁氏

(2020年12月1日)