<マリタイムカレッジシリーズ>

舶用ディーゼル推進プラント入門

商船高専キャリア教育研究会 編

船舶の原動機として使用されている「ディーゼル機関」、船舶の安全運航や環境保護に必要な要素である「燃料と燃焼」、「熱力学」、内燃機関の理論サイクルや出力・損失を理解する「内燃機関の性能」、原動力を推進力に変換する「推進装置」、「ディーゼル推進プラント」について解説。練習問題も掲載し、初学者に適した教科書。

書籍データ

発行年月 2019年10月上旬
判型 B5
ページ数 248ページ
定価 本体3,000円+税
ISBNコード 978-4-303-31510-8

概要

 船舶は、これまで長期にわたり、効率的に大量に物を運ぶ手段として人間の社会生活に貢献してきた。船舶の推進力としては、古い時代の櫂による人力、帆船時代の風力など初期には人や自然の力を利用してきた。その後時代が進むにつれて、蒸気を利用する時代が長く続いた。1897(明治30)年にルドルフ・ディーゼル博士によりディーゼル機関初号機が完成し、1900年代に入りディーゼル機関が実用される時代になると、船舶用の推進機関にもディーゼル機関が使用され始めた。しかしながら、当時の主流であった舶用推進プラントは、未だ蒸気往復動機関や蒸気タービン機関で、本格的にディーゼル機関が船舶用の原動機として使用され始めたのは、第二次世界大戦後である。
 特に、1973(昭和48)年と1978(昭和53)年の二度にわたる石油危機をきっかけに、蒸気タービン機関と比較して、圧倒的に燃料消費率が優れているディーゼル機関の使用が本格的に進んだ。また、船の長い寿命を考慮して、すでに蒸気タービンプラントを有する船齢の若い船舶をディーゼル機関に換装するケースもかなりの数に上った。
 船舶に使用されるディーゼル機関の大きな特徴は、多くの場合、石油精製過程でガソリンなどの軽質油を採った後の、いわゆる残渣油を燃料油として使用していることである。この種の燃料は安価で、しかも世界的にどの港でも入手可能であるという船舶の燃料としての必要条件を満たしていた。残渣燃料油を使用するには、燃焼の絶対時間が長く、かつ、燃焼室とクランク室が分離されている低速クロスヘッド機関が有利であり、現在に至るまで外航船の約80%が2サイクル低速クロスヘッド機関を使用している。しかしながら現在は、高硫黄燃料油の使用、熱効率は優れているがその弊害として非常に高いNOx排出率などの点で、環境問題という大きな試練に直面しており、今後克服しなければならない課題がある。
 本書では、これら船舶用ディーゼル推進プラントを対象に、初学者でも体系的に理解できるようにわかりやすい解説を行った。これまで内燃機関やディーゼル機関に関する著書は数多く出版されているが、船舶用ディーゼル推進プラント全体を網羅した書物はこれまでなかった。本書は、基本的な事柄を重視し、内燃機関の分類と歴史、ディーゼル機関の動作および構造、燃料と燃焼、ディーゼル機関に関連する熱力学、内燃機関の性能、推進プラント全体について必要事項を平易に記述したが、最近の技術進歩に対しても理解できるように努めた。また、海技士国家試験(機関)の参考書として利用できるように、過去に出題された問題に関する内容を本書に盛り込み、章末の練習問題についてはできるだけ詳しい解答例を巻末に載せた。(「はじめに」より抜粋)

目次

CHAPTER 1 舶用推進プラントの概要
 1.1 船舶の推進機関
 1.2 船のエンジンの魅力
 1.3 その他のエンジン
 1.4 推進プラントの構成と役割

CHAPTER 2 内燃機関の分類と歴史
 2.1 熱機関の分類
 2.2 内燃機関の分類
 2.3 内燃機関の歴史

CHAPTER 3 往復動機関の作動原理
 3.1 往復動機関の形状による分類
 3.2 作動流体による機関の分類
 3.3 内燃機関と外燃機関
 3.4 ガソリン機関の作動原理
 3.5 ディーゼル機関の作動原理
 3.6 ディーゼル機関とガソリン機関の比較
 3.7 4サイクル機関と2サイクル機関の比較

CHAPTER 4 ディーゼル機関
 4.1 ディーゼル機関の主要固定部
 4.2 ディーゼル機関の往復運動部
 4.3 シリンダ内のガス交換
 4.4 過給装置
 4.5 燃料噴射装置

CHAPTER 5 燃料と燃焼
 5.1 燃料
 5.2 燃焼概論
 5.3 ガソリン機関の燃焼
 5.4 ディーゼル機関の燃焼
 5.5 ガス機関の燃焼

CHAPTER 6 熱力学
 6.1 仕事とエネルギー
 6.2 熱と仕事
 6.3 理想気体の状態変化
 6.4 熱機関のサイクル

CHAPTER 7 内燃機関の性能
 7.1 理論サイクルの熱効率
 7.2 実際のサイクルと理論サイクル
 7.3 内燃機関の出力と熱効率の計算
 7.4 機械摩擦と機械効率
 7.5 内燃機関の性能評価

CHAPTER 8 推進装置
 8.1 推進装置の種類
 8.2 スクリュープロペラの構造
 8.3 プロペラ羽根、翼
 8.4 スクリュープロペラの材料
 8.5 スクリュープロペラの管理
 8.6 スクリュープロペラの取り付け方式

CHAPTER 9 軸系
 9.1 プロペラ軸
 9.2 船尾管
 9.3 中間軸、中間軸受
 9.4 スラスト軸、スラスト軸受
 9.5 動力伝達装置

CHAPTER 10 ディーゼル推進プラント
 10.1 配管系統
 10.2 燃料油系統
 10.3 潤滑油系統
 10.4 冷却清水系統
 10.5 冷却海水系統
 10.6 セントラルクーリングシステム
 10.7 始動空気系統
 10.8 給排気系統および蒸気系統

プロフィール

CHAPTER 1 川原秀夫(大島商船高等専門学校)
CHAPTER 2 川原秀夫
CHAPTER 3 今井康之(鳥羽商船高等専門学校)
CHAPTER 4 今井康之/川原秀夫
CHAPTER 5 山田圭祐(富山高等専門学校)
CHAPTER 6 濵田朋起(広島商船高等専門学校)
CHAPTER 7 秋葉貞洋(弓削商船高等専門学校)
CHAPTER 8 山口伸弥(大島商船高等専門学校)
CHAPTER 9 山口伸弥
CHAPTER 10 山口伸弥
編集幹事 川原秀夫