水産科学・海洋環境科学実習

北海道大学水産学部練習船教科書編纂委員会 編

大学2年生・高専4年生・高校専攻科生から、大学院修士課程1年生を主な対象として、練習船での実習経験と理論を結びつけ、水産科学・海洋科学を広く・深く理解するための教科書(オールカラー)。実習の意義を理解し、その先にある調査研究の目的を知ることができる。練習船、調査船、臨海実験所などで活用してほしい。

書籍データ

発行年月 2019年8月
判型 B5
ページ数 256ページ
定価 本体2,700円+税
ISBNコード 978-4-303-11500-5

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概要

 これまでは、水産科学・海洋科学を志す学生は、高学年になるほど細分化された講義を受け、実験・演習・実習を体験し、専門に特化した教科書や専門書、講義資料やノートで理解を深めてきた。また大学の場合、学部4年生で研究室に所属して、その研究室独特の調査手法を、先生や大学院生から直接教えてもらってきた。しかし海洋調査にかかわる職に就くと、海洋に関する幅広い知識と調査方法が必要だと実感する。水産科学・海洋科学は学際的学問分野であり、高等学校で習う生物学・物理学・化学・地学という「枠」を超えて理解できる能力が求められる。昔は、隣の研究室が実施している野外調査は理解できなくてもよかったが、現在では基本的な調査・実験方法は卒業時までに幅広く習得していないと、自信を持って仕事に打ち込めない。にもかかわらず現時点では、練習船での実習経験と理論を結びつけ、水産科学・海洋科学をもっと広く・深く理解するための教科書がない。それが本書の編纂を目指したきっかけである。
 本書の主な読者は、大学学部2年生・高専4年生・高校専攻科生から、大学院修士課程1年生程度を想定している。そして本書の目的は
・全国の練習船で行われている実習の意義を理解し、その先にある調査研究の目的を知る
・水産科学・海洋科学研究の現場を知って、練習船・調査船での生活をイメージする
・卒業論文や修士課程論文への取り組みを始めるにあたり、自分の専門分野ではないが、並行して調査することで有効だと考えられる他分野の調査手法を取り入れる(研究手法カタログとなること)
・各種の機器類や調査方法の特性を理解し、最大限に活用し、同時にその限界を知る(研究機器類の概説的カタログとなること)
ことである。もちろん、専門家が読んでも、本書は最新の手法や機器類を知るよい機会にもなるだろう。とくに調査の実際や、実施するにあたり考慮すべき点などを、写真や図などを交えて重点的に説明した。また、本書の著者は主に北海道大学に所属しているが、決して北海道大学の練習船でしか用いることができない教科書ではない。他大学や高等専門学校、高等学校の実習でも十分活用できるように配慮した。ぜひともさまざまな練習船、調査船、臨海実験所などで活用していただきたい。
 本書のすべてを修得できれば、海洋調査のオールラウンダーとして「海洋調査士」を名乗ることができるだろう。また、本書をきっかけとして科学的調査に精通し、特殊操船技術を有する調査船の船長を目指すのもよいだろう。
(「本書編纂・出版の経緯」より抜粋)

目次

第1章 魚類・ベントス・頭足類(イカ)
 1.1 噴火湾沖で採集される深海性魚類
 1.2 魚類(サケ・マス)
 1.3 魚類・ベントス測定
 1.4 頭足類(イカ)
 1.5 マイクロネクトンの採集

第2章 鳥類・哺乳類および海中の目視
 2.1 鳥類の目視
 2.2 鯨類の目視
 2.3 北海道周辺で見られる主要な海棲哺乳類
 2.4 ROV(遠隔無人探査機、水中テレビロボット)

第3章 プランクトン・微生物関係
 3.1 採集方法
 3.2 観察方法

第4章 漁具
 4.1 トロール漁具
 4.2 刺網漁具
 4.3 延縄釣具類

第5章 音響機器
 5.1 音響機器の原理
 5.2 音の性質
 5.3 ソナー方程式
 5.4 計量魚群探知機(計量魚探機)
 5.5 計量魚群探知機で得られる音響情報
 5.6 広帯域計量魚群探知機
 5.7 ソナー
 5.8 調査方法と解析方法

第6章 船体運動・船体工学・機関
 6.1 船とは
 6.2 船体の要目
 6.3 船の操縦の原理
 6.4 船体動揺と復原性
 6.5 機関

第7章 操船運航(位置の測定とその計算方法)
 7.1 地球座標系
 7.2 地図の投影法と海図
 7.3 海上における位置決定方法
 7.4 地球座標上の移動
 7.5 船橋機器

第8章 物理海洋関係
 8.1 CTD採水システム
 8.2 ADCP(超音波ドップラー流速計)
 8.3 XBT(投下式水温計)・XCTD(投下式水温塩分計)
 8.4 アルゴフロート
 8.5 乱流計
 8.6 気象・海象

第9章 化学海洋関係
 9.1 水の流れと化学物質の移動
 9.2 炭酸成分と酸素
 9.3 栄養塩
 9.4 栄養塩利用と植物プランクトン群集
 9.5 海洋パラメタの鉛直分布を決める要因
 9.6 海洋基礎生産と物質循環、地球環境
 9.7 実習例

第10章 船内生活、衛生管理
 10.1 乗船上の注意
 10.2 救命設備・安全のしおり
 10.3 衛生管理
 10.4 TAの学生指導に際しての注意事項

プロフィール

◆執筆者(五十音順)
磯田 豊(北海道大学大学院 水産科学研究院)
今井一郎(元北海道大学大学院 水産科学研究院 名誉教授)
今井圭理(北海道大学 水産学部附属練習船おしょろ丸)
今村 央(北海道大学大学院 水産科学研究院)
上野洋路(北海道大学大学院 水産科学研究院)
大木淳之(北海道大学大学院 水産科学研究院)
大西広二(北海道大学大学院 水産科学研究院)
大和田真紀(北海道大学 水産学部附属練習船おしょろ丸)
小熊健治(北海道大学 水産学部附属練習船おしょろ丸)
河合俊郎(北海道大学大学院 水産科学研究院)
工藤 勲(北海道大学大学院 水産科学研究院)
工藤秀明(北海道大学大学院 水産科学研究院)
久万健志(元北海道大学大学院 水産科学研究院 名誉教授)
小林直人(北海道大学 水産学部附属練習船うしお丸)
清水 晋(北海道大学 北方生物圏フィールド科学センター・水産科学研究院)
髙津哲也(北海道大学大学院 水産科学研究院)
田城文人(北海道大学 総合博物館)
中屋光裕(北海道大学大学院 水産科学研究院)
平譯 亨(北海道大学大学院 水産科学研究院)
福田美亮(北海道大学 水産学部)
藤森康澄(北海道大学大学院 水産科学研究院)
星 直樹(北海道大学 水産学部附属練習船おしょろ丸)
前川和義(北海道大学大学院 水産科学研究院)
松石 隆(北海道大学大学院 水産科学研究院)
松野孝平(北海道大学大学院 水産科学研究院)
三谷曜子(北海道大学 北方生物圏フィールド科学センター)
向井 徹(北海道大学大学院 水産科学研究院)
山口 篤(北海道大学大学院 水産科学研究院)
山本 潤(北海道大学 北方生物圏フィールド科学センター)
山村織生(北海道大学大学院 水産科学研究院)
綿貫 豊(北海道大学大学院 水産科学研究院)