実践 舶用機関プラント管理術

明野進 著

船舶の機関長や機関士がどのように機関プラントを管理すべきか、実践的な管理手法や管理ポイントをまとめた。また、事故事例やコスト試算、書式のサンプルなどを例示し、分かりやすく解説。機関長や機関士、またはそれを目指す人にとって、バイブルとなる1冊。

書籍データ

発行年月 2018年10月
判型 A5
ページ数 196ページ
定価 本体2,800円+税
ISBNコード 978-4-303-30570-3

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概要

 船舶での海上運送には,荒天遭遇,衝突・座洲座礁事故,機関事故,貨物の損傷などさまざまな海難事故のリスクが伴います。また,民間の商船では運送の効率性追求や運航スケジュール維持は必要不可欠です。このような背景により,海上運送に従事する船舶乗組員の目指すところは安全に,効率よく,確実に貨物を運ぶことです。
 船舶には運航要員として船長,航海士の他に,機関プラントを運用・保全する船舶機関士が乗船していますが,船舶機関士の業務は船長や航海士と協力して船舶を運航し,安全に,効率よく,確実に貨物を運ぶことと言えます。また,現在の船舶の運航においては,船上の管理者である船長や機関長と,陸上の船舶管理者や運航管理者の協力体制も重要です。
 船舶機関士の業務目標を,もう少し具体的に言えば,以下のようになります。
 安全 → 人身事故,環境汚染事故,機関事故などの海難事故を発生させないこと
 効率 → 燃料消費の節減,保守・修繕や潤滑油などのコストをミニマイズすること
 確実 → 貨物損傷事故や運航に影響する機関事故を発生させることなく,運航スケジュールを維持すること
 船舶機関士はこの業務目標を達成するために,機関プラントをどのように管理すべきなのでしょうか。機関プラントの適切な管理を行うには,技術的な管理だけではなく,管理に携わるメンバーのチームマネジメントも大切です。また,船舶機関士が船上でさまざまな業務を行う場合,その業務の目的やリスクを考えると,必ず頭に置いておかねばならない重要なポイントはどのようなことでしょうか。
 本書では,外航大型商船(ディーゼル主機搭載)をイメージして,船舶機関士がどのように機関プラントを管理すべきなのか,とくに機関部門の責任者である機関長の視点から実践的な管理手法や管理のポイントをまとめました。また,事故事例やコスト試算,書式のサンプルなどを例示して,読者が理解しやすいように努めています。これから,船上で機関長を目指す方や,陸上の船舶管理部門で管理者になられる方に,是非,参考にしていただきたいと思います。(「まえがき」より)

目次

第1章 機関プラントの現状把握と評価
 1.1 管理する機関プラントの理解
 1.1.1 機関プラントの概要把握
 1.1.2 緊急時対応の把握
 1.1.3 機器の来歴,特殊事情の把握
 1.1.4 機器メーカーの技術情報の把握
 1.2 機関プラントの現状評価,不具合の発見
 1.2.1 運転データの確認
 1.2.2 運転データの評価
 1.2.3 トルクリッチ状態の把握

第2章 機関プラントの運転管理
 2.1 機関プラントの監視,運転維持
 2.1.1 監視,運転維持の体制
 2.1.2 機関警報への対応
 2.1.3 機関室の巡視
 2.2 燃料油管理
 2.2.1 舶用燃料油の規格
 2.2.2 燃料油(HFO)の性状管理
 2.2.3 Marine Diesel Oil(MDO),Marine Gas Oil(MGO)
 2.2.4 補油計画
 2.2.5 補油作業
 2.3 潤滑油管理
 2.3.1 潤滑油の役割と種類
 2.3.2 潤滑油の性状管理
 2.3.3 シリンダ油の注油量
 2.4 その他の重要な管理業務
 2.4.1 ディーゼル機関の燃焼管理
 2.4.2 水質管理
 2.4.3 廃油/ビルジ処理
 2.4.4 貨物管理

第3章 機関プラントの安全管理
 3.1 機関事故
 3.1.1 労働災害
 3.1.2 海難と機関トラブル
 3.2 船舶の安全規則
 3.2.1 安全に関する海事法
 3.2.2 安全管理システム
 3.2.3 船級協会
 3.2.4 リスクアセスメント(Risk Assessment)
 3.3 機関室の安全対策
 3.3.1 人為的な要因による事故を防ぐ対策
 3.3.2 事故の原因究明と再発防止
 3.3.3 安全な職場づくり
 3.4 重大災害の回避
 3.4.1 重大な機関事故とは
 3.4.2 重大な機関事故の回避と準備
 3.4.3 機関室火災
 3.5 機関事故の対応
 3.5.1 事故発生時の対応手順
 3.5.2 船舶保険と機関事故

第4章 機関プラントの保守管理
 4.1 保守整備作業
 4.1.1 保守整備計画
 4.1.2 保守整備作業の実施手順
 4.2 入渠工事
 4.2.1 入渠工事の注意点

第5章 効率運航,コスト管理
 5.1 燃料消費量の節減
 5.1.1 燃料油の価格と燃料費の節減
 5.1.2 減速航行
 5.1.3 経年による燃料消費量増加
 5.1.4 その他の燃料消費量節減対策
 5.2 直接船費の節減
 5.2.1 直接船費の内訳
 5.2.2 直接船費節減のポイント

第6章 チームマネジメント
 6.1 機関長のチームマネジメント
 6.1.1 管理者の業務
 6.1.2 機関長の職務
 6.2 Engine-room Resource Management(ERM)
 6.2.1 BRM訓練
 6.2.2 ERM訓練

プロフィール

明野 進(あけの すすむ)

1977年9月 東京商船大学商船学部機関科卒業
1977年11月 日本郵船株式会社入社,三等機関士
1995年6月 同社機関長
2007年4月~2009年3月 同社経営委員 保船管理グループ長/船舶管理グループ長
2009年4月 京浜ドック株式会社移籍
2009年6月~2015年5月 同社代表取締役社長
2016年3月より 東京海洋大学海洋工学部海洋電子機械工学部門 教授