船体関係図面の理解と利用

淺木健司 著

著者が現役の航海士および学生に対して講義してきたなかで、実務において重要であるにも関わらず十分に理解されていない図面や資料について、船体の配置・構造、復原性、貨物の積付け関連を中心にまとめた。高度な予備知識がなくても簡便に学習でき、記憶が曖昧になったときは再確認するための手引き書として使える。
[2022年9月、2版発行]

書籍データ

発行年月 2017年12月
判型 A4
ページ数 144ページ
定価 3,960円(税込)
ISBNコード 978-4-303-22430-1

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概要

 船には,新造時に造船所から供与された多くの図面および数値表などが,『完成図書』として備えられています。海技者は,船舶運航のさまざまな場面で利用するにあたり,それらを丹念に読み取ることが求められますが,その読解には,極めて専門的かつ総合的な知識を必要とします。
 本書は,船において比較的使用頻度の高い船体構造関係の図面と,理論面での理解を要する復原性資料やローディングマニュアルおよび貨物固縛マニュアルについて,それらの利用をサポートすることを目的に執筆したものです。
 船体構造関係の図面については,その表記と実際の構造とを比較できるよう,3D 描画の図を多く取り入れました。理論面での理解を要するものは,必要な予備知識も解説し,理解を深めるため例題を挙げています。さらに,図表を利用する上での関連知識も章を割いて説明しました。また,掲載した図面および数値表の多くは,資料相互間の関連性にも配慮し,「芦屋丸」という1 隻のモデル船を対象としています。
 執筆にあたっては,基本的な知識と実務との橋渡しとなるよう心掛けました。したがって,すでに実務に就かれている方はもとより,将来の海技者を目指す学生諸君にとっても,実務を知る参考書として十分活用できると考えます。(「はしがき」より)

目次

第1章 船体関係図面の概要
 1.1 船体関係図面の種類
 1.2 図面に関する各種規格
 1.3 図面に関する基礎知識

第2章 船体の配置・構造に関する図面
 2.1 一般配置図(General Arrangement)
 2.2 船こく構造図における表記
 2.3 中央横断面図(Midship Section)
 2.4 鋼材配置図(Construction Profile and Deck Plan)
 2.5 外板展開図(Shell Expansion Plan)
 〔第2章の付録〕モデル船「芦屋丸」の船体構造

第3章 復原性資料の利用
 3.1 復原性資料の概要
 3.2 復原性と喫水変化に関する基礎知識
 3.3 排水量等曲線図と排水量等数値表
 3.4 タンク・テーブル(Tank Table、Sounding Table、Ullage Table)
 3.5 復原力計算
 3.6 喫水計算
 3.7 重量重心計算表の利用によるGoMおよび喫水の計算
 3.8 トリミング曲線およびトリミングテーブルの利用
 3.9 排水量計算
 3.10 復原性能の確認

第4章 ローディング・マニュアルの利用
 4.1 ローディング・マニュアルの概要
 4.2 船体の縦強度に関する基礎知識
 4.3 ローディング・マニュアルにおける計算(標準書式による計算)
 4.4 ローディング・マニュアルにおける計算(標準書式に準じた計算)
 4.5 縦強度計算における全体の流れ
 4.6 許容値を超えた場合の積付け変更のポイント

第5章 貨物固縛マニュアルの利用
 5.1 貨物固縛マニュアルの概要
 5.2 貨物の固縛に関する基礎知識
 5.3 非標準化貨物に対する固縛評価のための計算
 5.4 固縛評価の計算例

第6章 図面を利用する上での関連知識
 6.1 船体構造に関する基礎知識
 6.2 船体用鋼材の強度とグレード
 6.3 船体関係図表における単位
 6.4 密度、比重、比重量
 6.5 中間値の求め方(比例計算法)
 6.6 グラフ上の面積の求め方(求積近似法)