最初に読みたいアクティブラーニングの本

チャールズ・ボンウェル(サウスイーストミズーリ州立大学名誉教授)/
ジェームス・エイソン(南フロリダ大学教授)著
高橋 悟(新潟大学教育・学生支援機構教授)訳・監訳
福本 章(大阪成蹊大学芸術学部准教授)/高橋光希 訳

「多くの教員はアクティブラーニングの考え方に興奮し、性急に教え方を変えようとし、そして失敗する。その理由として、不十分な準備、学生側の抵抗、未熟なファシリテーション技術が挙げられる。もし私がアクティブラーニングの初心者だったら……」意欲ある教員ならびに教育関係者への示唆に富む名著、待望の邦訳。

書籍データ

発行年月 2017年3月
判型 A5
ページ数 144ページ
定価 本体1,600円+税
ISBNコード 978-4-303-73484-8

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概要

 大学教員の教育効果に係る説明責任は近年ますます高まっている。学生は教育プロセスに関われば関わるほどより一層学ぶということが研究で明らかにされてきた。しかし、大半の教員は最も受動的な授業形態の1つ、すなわち講義を採用し続けている。なぜこの方法を好むのかと教員に質問すると、それを心地よいと感じるから、という回答が多い。
 講義は多くの教員が自分の学生時代に経験した教授法である。何人かの教員は講義することによって自分が与える情報の内容と量を自在にコントロールできると感じている。また、ひとたび情報を伝達すれば、彼らはその意味を学生に授けるという責任を果たしたと感じている。しかし教育効果の低さを知るに至り、学生も教員もこの教育アプローチにかつてほどは満足しなくなってきている。
 学生の学びのプロセスへの参加を増大させるアクティブラーニングという概念は、教育効果を高めるうえで不可欠の技法である。多くの場合、アクティブラーニングは費用をかけることなく、現行の教え方にわずかな修正を施すことによって実現可能である。それは低いリスクで高い効果を上げる。
 Charles C. Bonwellは、サウスイーストミズーリ州立大学の教育学習センターの所長であり、また歴史学科の教授である。James A. Eisonはサウス・フロリダ大学の授業改善センターの初代所長である。彼らはこの本の中でアクティブラーニングの要素と長所を提示している。また伝統的な講義の修正点、代替する講義形式、追加的なアクティブラーニングの方略、研究者および様々な大学関係者の役割、そしてアクティブラーニング導入の際の障害についても論じている。
 教えることは芸術であり、また習得できるスキルである。今の教え方に満足していない教員は、本書に示された教育効果を改善するための様々な選択肢について考察していくにつれ、本書を有益なものと認めるであろう。指導的立場にいる教員もまた、新しい目標と方向性を定め、教員への期待を高めるうえで本書の価値に気づくであろう。(「はじめに」より)

目次

第1章 アクティブラーニングとは何か
 アクティブラーニングを定義する
 アクティブラーニングはどれくらい多く起こるのか
 指導的教育者たちの主張
 高等教育の深刻な問題

第2章 講義をアレンジする
 理解と定着を高めるための中断
 テストとクイズ
 実演
 代替的な講義形態
 学生が考え出す質問
 大教室授業は特別な事例か

第3章 質問とディスカッション
 学生を支える教室環境
 ディスカッションの題材
 質問のタイプ
 効果的な質問手法
 ディスカッションの方略とスタイル

第4章 アクティブラーニング促進のための方策
 視覚に訴える教育
 授業で書く
 問題解決
 コンピュータを利用した教育
 協同学習
 ディベート
 ドラマ
 ロールプレイ、シミュレーションとゲーム
 学生同士の教え合い

第5章 授業変革への障壁
 変革への全般的な障壁
 アクティブラーニング導入の障壁
 リスク:あらゆるものの中で最も困難な障壁

第6章 結論と提言
 大学教員の役割
 FD担当者の役割
 大学職員の役割
 教育研究者の役割

補章 日本語版に寄せて
 クリティカルシンキング
 教室でのアセスメント
 学習スタイル
 テクノロジー
 結論

プロフィール

チャールズ・ボンウェル(Charles Bonwell)
サウスイーストミズーリ州立大学歴史学名誉教授。同大学教育学習センター元所長。スタンフォード大学で機械工学の学士・修士号を取得後、カンザス州立大学で科学技術史の博士号を取得。1986年7月に米国高等教育学会およびカーネギー財団から「傑出した教育リーダーシップ」を発揮した全国の教員50名に選出され表彰された。大学授業におけるアクティブラーニングの導入、協同学習に対する学生と教員の抵抗、学生の動機付け方、批判的思考と問題解決を教える学問的アプローチの開発などを取り上げた論文と書籍を多数執筆。米国と海外の300以上の教員グループと教育機関において自らの持つ専門知識・技術を共有するワークショップを開催している。

ジェームス・エイソン(James Eison)
南フロリダ大学教育学部教授。同大学授業改善センター初代所長。専門は高等教育。テネシー大学ノックスビル校で博士号を取得。1980年に米国心理学会第二部から二年制大学の心理学教員に授与される教育賞の最初の受賞者となる。関心領域は教育方法、学習に影響を及ぼす学生の特質、アセスメント、試験と成績評価、教員の能力開発。多数の専門職団体で精力的に活動し、2000年には高等教育職能・組織開発ネットワーク(Professional and Organizational Development Network in Higher Education)の会長を務めた。教育と学習を改善する方法について多くの大学教員と共同で研究と実践を進めている。

高橋 悟(たかはし さとる)
新潟大学教育・学生支援機構教授。ハーバード大学修士(教育学)。東京学芸大学博士(教育学)。国際協力機構(JICA)、大阪成蹊短期大学等を経て現職。研究領域はPBL(problem-based learning)、協同学習、英語教育、国際理解教育、国際開発・協力。

福本 章(ふくもと あきら)
大阪成蹊大学芸術学部准教授、ラーニングコモンズ副センター長、高等教育研究所主任研究員。岡山大学修士(経営学)。大手生命保険会社総合職、専門学校理事を経て現職。研究領域はキャリア教育、初年次教育、リメディアル教育、インターンシップ、組織経営。

高橋 光希(たかはし みつき)
共立女子大学国際学部卒。学士(国際学)。専攻(ゼミ)は英語圏の文化/社会、ヨーロッパ研究。