エネルギービジョン

―地球温暖化抑制のシナリオ―

湯原哲夫(キヤノングローバル戦略研究所理事)
氏田博士(キヤノングローバル戦略研究所上席研究員) 編著

日本図書館協会選定図書

地球温暖化の抑制に向けて、①世界で共有するCO2排出曲線を新しいシナリオに基づいて設定し、②その制約下でコスト・ミニマムを基本とする世界全体最適化による各地域・国のCO2排出とエネルギー構成を定め、③投資とメリットのバランスに配慮しつつ、そのエネルギー構成を実現させる国際協力の仕組みについて提案する。

書籍データ

発行年月 2015年1月
判型 A5
ページ数 208ページ
定価 2,750円(税込)
ISBNコード 978-4-303-56210-6

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概要

本書は、2013年7月10日に実施した、「キヤノングローバル戦略研究所 地球温暖化シンポジウム ―地球温暖化に向けて世界で共有できるエネルギービジョンと日本の役割―」の講演と議論の内容を基にまとめたものである。

その提言の主旨は、地球温暖化に向けて、(1)世界で共有する二酸化炭素(CO2)の排出曲線を新しいシナリオに基づいて設定し、(2)その制約下でコストミニマムを基本とする世界全体最適化による各地域・各国の排出とエネルギー構成を定め、(3)投資とメリットのバランスに配慮しつつ、そのエネルギー構成を実現させるための国際協力の仕組みについて提案することにある。これらの提案について、著者らは主要国の専門家間のコンセンサスを築くことに努めてきた。関連分野について学んでいる学部学生、大学院生、および研究者・技術者、そしてこの分野に興味を持つビジネスマンにも読んでいただきたい。

本書では、Part Iで、地球温暖化に向けて焦眉の急である長期エネルギー政策のあり方について検討する。高効率でクリーンなエネルギー技術の活用による、地球温暖化抑制、エネルギーセキュリティ確保、および経済成長の維持というエネルギー政策3原則に基づいたあるべき将来のエネルギー構成についての提言を行う。次に、これまで提案してきた世界の長期二酸化炭素排出シナリオに関する最近の研究成果などについて報告する。また、濃度安定化シナリオに代わるオーバーシュートシナリオに関する世界の動向について検討する。

さらにPart IIでは、日本の長期エネルギー需給にとって基本的に重要なイノベーション技術の見通しと普及のメカニズムについて、とくに進展する化石燃料の利用技術と炭素回収隔離技術の可能性、原発事故を踏まえた原子力エネルギーの利用技術と開発、さらに大規模な導入が計られつつある再生可能エネルギーについて、日本の役割と貢献を2030年から2050年を射程に入れて、提言を行う。(「はじめに」より抜粋)

目次

地球温暖化抑制のための世界で共有できるビジョンの提案

Part I 世界で共有できる排出シナリオ(エネルギービジョン)
    1. CO2排出シナリオの科学性の検討
    2. 中長期エネルギービジョン
    3. エネルギービジョンの実現可能性
    4. CO2排出シナリオの経済性評価
    5. CO2長期削減目標の再検討

Part II 日本の役割と貢献
    6. 高効率でクリーンな火力発電技術の役割と展望
    7. 二酸化炭素回収貯留(CCS)の現状と展望
    8. 原子力の役割と展望
    9. クリーンな再生可能エネルギーのポテンシャルと役割
    10. 世界ビジョン実現における日本の役割と貢献

パネルディスカッション「地球温暖化抑制のためのエネルギー政策」