<マリタイムカレッジシリーズ>

船の電機システム

―マリンエンジニアのための電気入門

商船高専キャリア教育研究会 編

船舶運航に必要な電機システム、電気工学技術について、海技士国家試験に出題される内容を中心に解説。なるべく計算式を省き、図解により初等機関士として最低限必要な電気工学の知識が得られる。電気工学の基礎から電気技術応用まで、幅広い内容が網羅されており、機関士として乗船勤務した際にも活用できる。
[2024年4月、6版発行]

書籍データ

発行年月 2014年3月
判型 A5
ページ数 224ページ
定価 2,640円(税込)
ISBNコード 978-4-303-31500-9

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概要

 本書はマリンエンジニア(機関士、海事関連技術者)を目指す学生を対象に、船舶運航に必要な電機システム、電気工学技術について解説した教科書である。航海士を目指す学生にとっては、乗船勤務時に役立つ参考書になると考える。本書では、なるべく計算式を省き、図解による学習ができるように配慮している。また、海技免状を取得するために必要な国家試験のための勉強ができるよう、海技士国家試験に出題される内容を中心に解説している。
 この一冊があれば、初等機関士として最低限必要な電気工学の知識が得られるように配慮した。そのため、電気工学の基礎から電気技術応用まで、幅広い内容が網羅されている。機関士として乗船勤務した際にも活用できる教科書、参考書を目指した。
 本書は、海技免状の取得を目的としているため、従来の電気工学や電気機器学といった出版物と異なる部分がある。従来の電気機器学の教科書では、直流機(直流発電機、直流電動機)から学ぶようになっているが、本書では直流機の解説は一切ない。これは、海技士国家試験に出題されないためである。今回は普遍的な技術を中心に、海技士国家試験の出題内容、船舶の電機システムに特化し、解説している。
 現在は、主機にディーゼルエンジンを用いて推進力を得る船舶が主流であるが、将来的にはディーゼルエンジンが発電機用原動機になり、電動機で推進する電気推進船や、電機システムを用いプロペラを介さない新たな船舶へと移行することも考えられる。半導体技術の進歩によって自然エネルギー、再生可能エネルギーによる発電、さらにはパワーエレクトロニクス技術による電動機制御の高精度化、省エネルギー化、大電力化が期待されており、船舶で扱う電気工学技術の重要性がさらに増していくことが予想される。その場合には、船舶における電機システムの占める割合が高くなり、電気工学技術の修得が重要項目になる可能性がある。そのときは、本書を最大限に活用してほしい。
 また、機関長、機関士としての職務を理解してもらうために、全日本船舶職員協会にご提供いただいたコラムを読んで、将来の自分を想像してほしい。信頼される機関士として成長するには何が必要か、この教科書を熟読して理解を深め、電機システム、電気工学技術に関する自信をつけてもらいたい。執筆者一同、読者のみなさんが海技士国家試験に合格できるように、また、将来は機関士として、さらには機関長として活躍してもらえるように、と思いながら本書を執筆した。ぜひ、機関長、機関士として乗船し、日本経済を支え担ってほしい。飛躍を期待するとともに、本書がその一助になればと考える。(「読者へのメッセージ」より抜粋)

目次

CHAPTER 1 電気機器の基礎
 1.1 電気とエネルギー
 1.2 電気と磁気
 1.3 交流回路
 1.4 三相交流回路

CHAPTER 2 変圧器
 2.1 変圧器の原理
 2.2 変圧器の構造
 2.3 変圧器の理論
 2.4 変圧器の結線
 2.5 計器用変成器
 2.6 単巻変圧器

CHAPTER 3 同期発電機
 3.1 同期発電機の原理
 3.2 同期発電機の構造
 3.3 同期発電機の理論
 3.4 同期発電機の並行運転(並列運転)
 3.5 同期発電機の保守

CHAPTER 4 誘導電動機
 4.1 三相誘導電動機の種類と構造
 4.2 三相誘導電動機の原理
 4.3 三相誘導電動機の理論
 4.4 三相誘導電動機の特性
 4.5 三相誘導電動機の運転
 4.6 特殊かご形誘導電動機
 4.7 単相誘導電動機
 4.8 三相誘導電動機の保守

CHAPTER 5 シーケンス制御
 5.1 シーケンス制御の部品と記号
 5.2 シーケンス制御基本回路
 5.3 シーケンス制御応用回路

CHAPTER 6 パワーエレクトロニクス
 6.1 電力用半導体
 6.2 整流回路と順変換
 6.3 インバータ

CHAPTER 7 船舶における電気技術
 7.1 配電システム
 7.2 非常用電源
 7.3 軸発電機
 7.4 電気推進船

プロフィール

CHAPTER 1 向瀬紀一郎(弓削商船高等専門学校)
CHAPTER 2 大山博史(広島商船高等専門学校)
CHAPTER 3 窪田祥朗(鳥羽商船高等専門学校)
CHAPTER 4 山本桂一郎(富山高等専門学校)
CHAPTER 5 村岡秀和(広島商船高等専門学校)
CHAPTER 6 村岡秀和
CHAPTER 7 伊藤正一(大島商船高等専門学校)/吉岡勉(大島商船高等専門学校)
コラム 全日本船舶職員協会/村岡秀和
イラスト制作 向瀬紀一郎
編集幹事 窪田祥朗