エクセルによる調査分析入門

井上勝雄 著

商品企画やデザイン部門でマーケティング、デザインコンセプト策定に携わる読者を対象に、実践的な例題を用いて、基本的な統計的検定の考え方から、尤度関数を用いた最新の多変量解析手法、ラフ集合や区間分析の手法まで幅広く解説。難解といわれる各手法の数学的な概要も俯瞰的にわかりやすく説明。(別売エクセルVBAソフトあり)

書籍データ

発行年月 2010年5月
判型 A5
ページ数 208ページ
定価 2,200円(税込)
ISBNコード 978-4-303-73091-8

amazon 7net

概要

調査分析手法の代表である多変量解析は、商品企画やデザイン部門でマーケティングおよびデザインコンセプトを策定するために広く使われるようになってきました。その要因として、パソコン向けの解析ソフトが普及したことがあげられます。その魁の1つとなったのが『EXCELによる調査分析入門』(1996年)です。本書は好評を博したこの書籍を全面的に改訂したものです。

前著ではマイクロソフト社のエクセル版VBA(Visual Basic for Applications)プログラムで制作した解析ソフトを収録したフロッピーディスクを添付し、そのソフトを用いた例題を掲載していました。しかし、刊行後、読者から、本で紹介されている多変量解析などの手法の数学的な概要の解説や、より多くの解析手法の紹介を求められました。そこで、これらの要望に応えるために本書を企画しました。

したがって、本書では前著の約2倍の手法を紹介しています。基本的な統計的検定の考え方や、尤度関数を用いた最新の多変量解析手法も説明しています。また、人間の感性の視点から注目されはじめているラフ集合や区間分析の手法も加えてあります。さらに、人間の推論という考え方から、難解といわれる各種の手法の数学的な概要を俯瞰的にわかりやすく説明するよう心がけました。使用した例題は商品企画者やデザイナーを意識して作成しています。そのため、一般の読者にもわかりやすいものになっています。

現在、多変量解析の手法は啓蒙書と専門書に二極化していますが、本書はその中間に位置づけられます。手法の説明に固有値や固有ベクトルなどという難解な数学用語が登場しますが、大学の共通教育のレベルから平易に解説してあります。

本書で解説する各種手法のエクセルVBAソフトは指定のサイトから購入することができます。前著で紹介したVBAプログラムも含まれていますが、操作環境と出力内容は大幅に改善されています。

以上のように、本書は現場の商品企画者やデザイナーが調査分析手法を基礎から学べるだけでなく、実践的に用いることもできる内容になっています。また、これから調査分析手法を学ぼうとする大学生にも実践的でわかりやすい内容となっています。(「はじめに」より抜粋)

目次

第1章 分析手法とデータ
     1.1 人の視点に立った分析手法
     1.2 記述統計と推測統計
     1.3 データの種類
     1.4 多変量解析手法の基礎数学

第2章 推論と評価
     2.1 人間の思考方法
     2.2 評価の手法
     2.3 評価の概念式
     2.4 重視度の求め方
     2.5 総合評価
     2.6 AHP法の数学式
     2.7 ファジィAHP法

第3章 データの散らばりとその関係
     3.1 データの比較方法
     3.2 分散と標準偏差
     3.3 共分散と相関
     3.4 クラメールの連関係数
     3.5 相関比
     3.6 量的データと質的データの類似性
     3.7 カイ二乗統計量

第4章 主成分分析と因子分析
     4.1 主成分分析の考え方
     4.2 例題と計算結果
     4.3 主成分分析の数学
     4.4 因子分析の考え方
     4.5 例題による手法の比較
     4.6 因子分析の数学
     4.7 バリマックス回転の意味
     4.8 イメージ調査と感性工学
     4.9 SD法の例題

第5章 重回帰分析
     5.1 重回帰分析の考え方
     5.2 予測値と決定係数
     5.3 例題と計算結果
     5.4 結果の統計的な確認
     5.5 多重共線性
     5.6 ロジスティック回帰分析
     5.7 t検定と分散分析

第6章 基準のない評価(構造分析)
     6.1 2つの評価基準
     6.2 数量化理論Ⅲ類
     6.3 クラスター分析
     6.4 コレスポンデンス分析
     6.5 数量化理論Ⅳ類

第7章 基準のある評価(因果関係)
     7.1 数量化理論Ⅰ類
     7.2 正準相関分析
     7.3 コンジョイント分析
     7.4 数量化理論Ⅱ類
     7.5 グラフ理論

第8章 感性データ解析の新手法
     8.1 区間AHP法
     8.2 ラフ集合