教師とテクノ・リテラシー

コリン・ランクシア、イラーナ・スナイダー、ビル・グリーン 著
小西正恵 訳

リテラシー教育と情報通信技術の融合に熱心に取り組む現場からの報告と理論を結びつけて、テクノ・リテラシーを高めるためのエッセンスを整理。教科担当教員のみでなく、校長など学校を経営・指導する立場にある人々にも有益な示唆を与える。

書籍データ

発行年月 2007年1月
判型 A5
ページ数 200ページ
定価 本体2,400円+税
ISBNコード 978-4-303-73472-5

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概要

 本書は、リテラシー理論のしっかりとした学問的背景を持っていると同時に、オーストラリアの小・中・高等学校の実際の教室での授業を観察した、詳しい記述もふんだんに盛り込まれている。第一言語としての英語のリテラシー教育という枠組みでのプロジェクトを主に取り上げているが、オーストラリアの多文化環境という国柄から、英語以外の言語背景を持つ生徒が、英語を共通言語としてコミュニケーションを図りながら、コンピュータやインターネットを利用して、さまざまなプロジェクトに取り組んでいる状況も含まれており、国語教育のみならず、英語教育や情報教育など、総合的な学習の時間における取り組みの参考になることも多いと思われる。
 また、個々の教室における授業計画を考えるだけでなく、より広い視野に立って、学校のカリキュラムや資金面での見通しを立てる場合にも有意義な、行政面での政策をどのように読み解くべきかについての章も設けられている。これは日本の状況に置き換えると、文部科学省による学習指導要領の解釈などに当たると考えられる。そして、技術を活用するためには、施設・設備を導入するために、どうしても資金面での配慮が必要となる。その点も含めて、科目担当教員のみでなく、校長など学校を経営・指導する立場にある人々にも有益な示唆を与えてくれるものである。
 リテラシー教育と情報通信技術の融合に熱心に取り組む現場からの報告を基に、それらの情報を5つの型と原理に整理し、起こりがちな不都合を防ぐために気をつけるべき点を、最後に実践的示唆としてまとめている。一部の熱心な教師によってのみ担われるのではなく、学校全体として、教科や学年をまたいで継続的に取り組むために気をつけるべき点を、型と原理としてそれぞれ5項目ずつ挙げて解説し、現場教師のみならず、管理者の立場や、地域共同体との協力も得ながら、学校全体としてテクノ・リテラシーを推進するための実践的提案が示されている。
 原著の出版から7年近くの年月が経過してしまったが、本書はリテラシー教育と情報通信技術との融合がますます注目されるようになってきている日本の学校現場でも参考になる内容を提示していると確信する。そのため、日本の読者のみなさんにも、本書に書かれている貴重な情報に触れる機会をぜひとも持っていただきたい。
 訳者自身もコンピュータ利用の言語教育に深く興味を抱く立場から、本書に示された情報には新たな目を開かれた思いがしている。印刷物を基本とするリテラシー能力の時代を経て、ハイパーテキストと呼ばれる、インターネットのホームページに代表されるような、文字情報だけでなく、映像や音声などマルチメディアの情報もあわせ持ち、リンクを介して相互に結びつき、他の文書へと容易に情報収集経路を広げることができる文書が、今後ますます一般化する時代を迎え、現場と理論を結びつけて、テクノ・リテラシーを高めるためのエッセンスを整理した本書を手にした読者のみなさんが、新たな視点を得られることを願っている。(「訳者まえがき」より)

目次

第1章 リテラシー、技術、そして教室
 1.1 主な疑問
 1.2 出所に戻る
 1.3 これらの描写が我々に示すこと
第2章 リテラシー、技術や学習に関する変化する世界の理解
 2.1 リテラシー
 2.2 技術
 2.3 学習
 2.4 リテラシーと技術、学習:3次元的取り組み
第3章 リテラシーと技術政策:なぜそれは重要なのか、そしてそれから学べること
 3.1 方向づける話
 3.2 政策の理解
 3.3 リテラシー、技術、学習に関する政策環境
 3.4 教師の政策的役割に対する示唆
第4章 教室の描写:日々の実践から学ぶ
 4.1 現場に戻る
 4.2 5つの描写
第5章 教室実践の型と原理
 5.1 教室実践の5つの型
 5.2 教室実践のための5つの原理
第6章 将来の発展への実践的示唆
 6.1 学校全体での高い関与を伴う対応
 6.2 読者との契約
 6.3 最終見解