阪神・淡路大震災から100学んだ

―防災・復興に活かす知恵と心がまえ

村山茂 著

伊丹市で被災し、勤務先の小学校が避難所となった著者が、そのときの体験をもとに、地震発生後の様々な出来事や復興活動のなかで学んだこと、ふれあいのなかで感じた人の温かさなどを、1話2ページ、100話にまとめた。
[2005年1月、2刷発行]

書籍データ

発行年月 2004年12月
判型 四六
ページ数 240ページ
定価 1,650円(税込)
ISBNコード 978-4-303-63480-3

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概要

 阪神・淡路大震災は未曾有の大災害だった。「どんな地震だったのですか」と聞かれても、一口で言い表すことはできない。壊れた家や家具、避難所生活を余儀なくされ、知り合いに亡くなった人もいた。しかし、悲しみや苦労と同じ数だけ学んだことがあった。
 地震の揺れは10秒あまりだったが、その瞬間から自然の驚異を学んだ。そして、ふだんはあまり気にかけていない、家の中にある物から学んだ。勤務先の学校が避難所になり、そこでいろいろな体験をし、さまざまな人に学んだ。復興へ向けての工夫や努力、人のやさしさを学んだ。さらに、震災を体験したことをきっかけに、地震以外の自然現象からもたくさんのことを学んだ。
 阪神・淡路大震災以降、直下型だけを取り上げてみても、鳥取県西部地震、芸予地震、宮城県の北部で起きた地震、そして新潟県中越地震と、大きな地震が続いている。今後も、警戒が叫ばれている東海地震や東南海・南海地震だけでなく、いつどこで大地震が起きても不思議ではない。
 だからこそ、震災で得た経験を忘れてはならない。そして次にやってくるであろう大地震への備えを、世代がかわっても引き継いでいかなければならない。(「はじめに」より)

目次

地震直後から避難所までに学んだこと
 001 貴重な光―デジタル時計のライトに学んだこと
 002 空が光った―発光現象に学んだこと
 003 電話が通じない―公衆電話に学んだこと
 004 タンスが倒れている―畳とじゅうたんに学んだこと
 005 台所は土足で―土間に学んだこと
 006 ドアが開かない―近隣の人の親切に学んだこと
 007 食べる物がない―少しのパンに学んだこと
 008 着る服がない―洗濯物に学んだこと
 009 自動車の屋根がへこんでいる―ひと安心できる場所に学んだこと
 010 ガスもれきけん タバコばくはつ―とっさの危険表示に学んだこと
 011 プールの水が減っていく―水の大切さに学んだこと
 012 バケツ500杯分の水―給水タンクに学んだこと
 013 一杯の茶碗蒸し―救援物資に学んだこと
 014 使用したトイレットペーパーはビニール袋へ―水洗トイレに学んだこと
 015 震度を当てる―余震の恐怖に学んだこと

不幸中の幸いに学んだこと
 016 5時46分という時刻―地震が起きた時刻に学んだこと
 017 1月17日という日―地震が起きた季節に学んだこと
 018 煙が真っすぐ昇っていく―季節風に学んだこと
 019 津波はなかった?―津波の可能性に学んだこと

学校に学んだこと
 020 ブロック塀の上をひょいひょい―安全点検マップに学んだこと
 021 お風呂に入ろう―「どうしても自宅で」に学んだこと
 022 別れあり、出会いあり―転校生に学んだこと
 023 冷凍パイナップルなんてやめてよ―簡易給食に学んだこと
 024 映像で伝えたい―ビデオクラブに学んだこと
 025 卒園写真が2枚―篠山の幼稚園に学んだこと
 026 6432本のうちの1本―昆陽池公園のろうそくに学んだこと
 027 地震のショックで陣痛が始まった―1月17日生まれに学んだこと
 028 紙皿の上に赤飯が―ふたたび、1月17日生まれに学んだこと

メディアに学んだこと
 029 地震直前からの映像が流れた―NHKテレビに学んだこと
 030 落ち着いてテレビが見られるように―コマーシャルの自粛に学んだこと
 031 亡くなった人の数で賭けをするなんて―被災者のことばに学んだこと
 032 歌は心を落ち着かせてくれた―『負けないで』に学んだこと
 033 情報をどんどん流してくれる―教育テレビに学んだこと
 034 震度5が弱い地震?―テレビの表示に学んだこと
 035 これから地震が起きるのがわかった―テレビ中継に学んだこと

鉄道に学んだこと
 036 福知山線・播但線経由で神戸へ―迂回ルートに学んだこと
 037 福知山線増発で、さまざまな車両が―応援車両に学んだこと
 038 三ノ宮駅付近を外側線で仮復旧―複々線に学んだこと
 039 仮駅まで歩いてみて―阪急・伊丹駅に学んだこと
 040 地震が起きる前に新幹線を止める―ユレダスに学んだこと

復興に学んだこと
 041 石を持ち上げる機械で助けた―造園業者に学んだこと
 042 売布カメラやっとる!―地元の人の力に学んだこと
 043 ピサの斜塔がたくさんある―高速道路の柱に学んだこと
 044 青いシートを張ってくれた―ボランティアに学んだこと
 045 全壊でも住めて、半壊でも取り壊し―平行四辺形に学んだこと
 046 仮設住宅に入れない―半壊のマンションに学んだこと
 047 工事中の足場から見て―復旧委員会に学んだこと
 048 「どこでもドア」がきた―補修工事に学んだこと
 049 技あり、笑顔あり―プロレスに学んだこと
 050 ミキサー車を声で誘導―タクシーの運転手に学んだこと
 051 高校野球ができた―一日3試合に学んだこと
 052 店は助かったが―チェーン店に学んだこと

いろんな人に学んだこと
 053 ピアノが舞う―本震の激しさを伝える話に学んだこと
 054 冷蔵庫を使ってください―マッサージ師に学んだこと
 055 戦争より怖かった―戦争経験者に学んだこと
 056 一生に1度は身の危険を感じる―ふたたび、戦争経験者に学んだこと
 057 なつかしい写真が出てきた―親切な解体業者に学んだこと
 058 地震・雷・火事・親父―昔からの言い伝えに学んだこと
 059 「地震ごっこ」で震度8―子どもたちの遊びに学んだこと
 060 人情味あふれる店―散髪屋に学んだこと
 061 棋士になりたい―油絵展に学んだこと

初めて知って学んだこと
 062 和歌山は赤ちょうちんタイプ―阪神・淡路大震災以前の新聞に学んだこと
 063 前日に震度1―前震に学んだこと
 064 東海地震に惑わされた―偏った情報に学んだこと
 065 建物がないところは震度6まで?―「気象庁震度階級関連解説表」に学んだこと
 066 激しい揺れから身を守ろう―「地震だ火を消せ」に学んだこと
 067 土といっしょに揺れる―「地下は安全」に学んだこと
 068 六甲山は地震でできた山―山のできかたに学んだこと
 069 10万年前まで伊丹は海―地面の隆起に学んだこと
 070 津波から身を守る―津波注意の立て札に学んだこと

施設に学んだこと
 071 被災した家を展示―野島断層保存館に学んだこと
 072 食べる物がなくて死んだ人はいない―人と防災未来センターに学んだこと
 073 子どもたちにも伝わった―地すべり資料館に学んだこと
 074 関東大震災を見た―地震展に学んだこと
 075 地震の揺れを体験できる―揺れる座席の映画館に学んだこと
 076 縦揺れも体験できる―静岡県地震防災センターに学んだこと

過去の大地震に学んだこと
 077 大仏さんは見ていた―鎌倉の大仏に学んだこと
 078 長く、ゆったりした揺れ―「稲むらの火」に学んだこと
 079 水がだんだんと膨れ上がる―南海地震の体験者に学んだこと
 080 左手を切断して脱出―福井地震に学んだこと
 081 太平洋は円い―チリ地震に学んだこと
 082 道路が噴火した?―新潟地震に学んだこと
 083 パイロットが津波を見た―日本海中部地震に学んだこと
 084 天災は忘れないでもやって来る―北海道南西沖地震に学んだこと
 085 沖へ避難しろ―漁師さんに学んだこと
 086 築100年の建物は無事―芸予地震に学んだこと
 087 余震が本震を上回った?―宮城県北部の地震に学んだこと
 088 人形は平気な顔をしていた―地下の喫茶店に学んだこと
 089 震度計のデータが送られてこない―新潟県中越地震に学んだこと
 090 私の家が見えた―空の交通に学んだこと

さまざまな気象に学んだこと
 091 運動場に突然、渦が―つむじ風に学んだこと
 092 しけは天国、霧は地獄―霧笛に学んだこと
 093 温帯低気圧で台風並みの被害―気象予報士に学んだこと
 094 大雨は山沿いだけ?―1時間に100ミリの雨に学んだこと
 095 ひょうで通行止め―除雪車に学んだこと
 096 冬型気圧配置と降水量―気象ニュースに学んだこと
 097 道路にきれいな模様ができた―土の温かさに学んだこと
 098 細かい天気情報を知る―交通情報に学んだこと
 099 野球はやっぱり外がいい―高校野球の応援団に学んだこと
 100 雨で中断した野球放送を楽しむ―スポーツ中継のニュース性に学んだこと