デザイン支援システムの構築と運用

―工業デザインにおける感性工学的アプローチ

萩原祐志 著

日本感性工学会出版賞受賞(2003年度)

工業デザインにおける「形と色に関する計画と設計」を支援するDSS(デザイン支援システム)の構築方法と運用例を紹介する。DSSは工業デザイナーが本来の能力を発揮する手助けをし、またユーザー参加型デザインを促進する。工作機械、油圧ショベル、携帯電話などのデザインへの適用事例を示す。

書籍データ

発行年月 2003年5月
判型 A5
ページ数 144ページ
定価 本体1,800円+税
ISBNコード 978-4-303-72725-3

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概要

 工業デザインとは「人と社会の関係を作ることである」といえるほど、その領域は広がり続けている。一方、工業デザインの狭義の定義とでもいえる製品の形と色に関する計画と設計を行うことも、相変わらず工業デザインにおける重要な要素であり続けている。
 本書は時代を超えて重要視される形と色の計画と設計に着目し、これを支援するシステムについて紹介したものである。したがって、本書で呼ぶデザインとは「形と色に関する計画と設計」を指すものとする。また、ここで紹介するシステムを総称してデザイン支援システム(DSS:Design Support System)と呼ぶことにする。
 本書で紹介するDSSは、ユーザー参加型デザインを促進することと、多忙すぎる工業デザイナーたちに本来の能力を発揮してもらうためのものである。DSSに利用した推論モデルなどに関する理論面での説明は他の出版物に譲り、本書では工業製品のユーザーや工業デザイナーがDSSを利用できる可能性を示すことに重点を置いた。
 序章から第3章では主にDSSの構築方法を概説し、第4章から第8章ではDSSの利用方法を紹介した。今後、需要が増加すると予想されるDSSの1つの事例として、本書が工業デザイナーや工業製品のユーザーの参考になれば幸いである。 (「はじめに」より)

目次

序章 どのようなデザイン支援システムが必要なのか
 ・産業機械デザインに着目してみる
 ・産業デザイン開発における問題とは
 ・問題解決策としてのDSSに求められること
 ・デザイン案の特性を探る
 ・ほかのDSSの関連研究について
 ・システム構築への糸口

第1章 推論モデルについて考える
 1.1 DSSに用いる推論モデル
 1.2 各モデルの作成方法
 1.3 シミュレーション結果
 1.4 得られたデザイン案は妥当か
 1.5 補間結果を操作してみる

第2章 マップを利用してデザイン案を獲得する方法
 2.1 デザイン案創出観点とマップ
 2.2 マップを利用することの妥当性の検討
 2.3 推論システムの構築
 2.4 ファジィ推論の方法
 2.5 シミュレーション結果と考察

第3章 デザイン案創出のための内挿的方法と外挿的方法
 3.1 内挿的方法と外挿的方法とは
 3.2 元図形とその変形方法
 3.3 外挿的システムの構築
 3.4 シミュレーション結果
 3.5 妥当性の考察

第4章 工作機械のデザイン支援システム-I
 4.1 工作機械デザインの特徴
 4.2 構築したシステムの概要
 4.3 シミュレーション
 4.4 デザイン案の妥当性
 4.5 システム利用のありかた

第5章 工作機械のデザイン支援システム-II
 5.1 工作機械デザインのニーズ
 5.2 美しさの必要性
 5.3 デザインイメージ先行型システムの概要
 5.4 製品対象と元図形
 5.5 シミュレーション結果
 5.6 デザイン案の実現性について
 5.7 市場製品のデザインとの比較
 5.8 デザイン案の表現手段
 5.9 デザインと労働意欲

第6章 油圧ショベルのデザイン支援システム
 6.1 建設機械デザインについて
 6.2 デザインとコンピュータ
 6.3 油圧ショベルデザインのニーズ
 6.4 要求イメージと元図形
 6.5 システム構築方法
 6.6 要求イメージの凝縮結果
 6.7 システム概要
 6.8 シミュレーション
 6.9 デザイン案の妥当性

第7章 携帯電話のデザイン支援システム
 7.1 身近な製品への適用
 7.2 携帯電話デザインとデザインの条件
 7.3 DSS構築の手順
 7.4 評価項目と散布図の結果
 7.5 ルールの作成
 7.6 シミュレーション
 7.7 デザイナーの仕事とシステム

第8章 生活用品のトータルデザイン支援システム
 8.1 高度情報化社会とトータルデザイン
 8.2 システムの概要
 8.3 シミュレーション
 8.4 今後の展望