自己組織化マップ応用事例集

SOMによる可視化情報処理

徳高平蔵・藤村喜久郎・山川烈 監修

事業戦略管理/マーケティング、経済分析、土木工学(地熱資源、斜面崩壊、地盤構造)、日本語意味マップ、チップマウンタ、顔画像認証システム、適応制御、データベース/情報検索、健康診断など、さまざまな分野における自己組織化マップ(SOM)の応用例を具体的に紹介し、その情報可視化ツールとしての有効性を示す。
[2005年1月、2刷発行]

書籍データ

発行年月 2002年10月
判型 A5
ページ数 208ページ
定価 本体2,700円+税
ISBNコード 978-4-303-73231-8

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概要

 本書はニューラルネットワークの1つである自己組織化マップ(SOM)の日本国内での最近の研究成果を解説したものである。
 自己組織化マップは動物や人間の視覚に関係する細胞(とくに大脳皮質)で行われる自己組織化過程の研究が元となっている。マルスバーグ(von der Malsburg)は、1973年に出力空間で隣接する位置に同じようなパターンを効果的にマップ化するアルゴリズムに関してその先駆的な結果を得ていた。自己組織化マップの生みの親であるコホネンはマルスバーグの系の記述を一般化し簡単化することに成功した。自己組織化マップの基本的な考えは彼のノートに1976年には書き留められていたが、1981年の初め頃まではまだ研究が始まっていなかった。1984年に『Self-Organization and Associated Memory』という英語版の本が海外で出版され、その日本語訳が『自己組織化と連想記憶』として1993年に出版された。自己組織化マップと学習ベクトル量子化という手法を日本に広く紹介したのはこの本が最初であろう。当時は1980年後半の階層型パーセプトロンを主体としたニューラルネットワークの研究やファジィに関する研究が主体であり、この自己組織化マップはそれほど注目されなかった。そういった中でコホネンは『Self-Organizing Maps』を1995年に出版した。その前の著書では理論的な記述が多かったが、この著書では現実の応用に近い事例を元に自己組織化マップの有効性を広く紹介した。この本は翌1996年に我々の手により『自己組織化マップ』という日本語の訳本となり出版された。この出版以後、我が国でも自己組織化マップの研究は一般化したと言える。
 1999年のファジィ学会全国大会で自己組織化マップの企画セッションが設けられた。ここでは、経済、土木、商業分野への応用事例が紹介された。この年にSOMメールリストが開始され、現在200名近くの日本の研究者や技術者の方々が登録されている。2001年の3月には第1回の自己組織化マップ研究会が開催された。これ以降、夏もしくは秋にはファジィ学会全国大会での企画セッション、春(3月)には自己組織化マップ研究会が開催されることになった。現在まで、ファジィ学会全国大会での企画セッションは4回、自己組織化マップ研究会は3回開催された。本書はこれらの日本国内で発表された論文の中から、SOMの理論、経済学、情報経済学、土木工学、情報工学、計測制御、商業目的、医療分野への応用を選び、専門の方々に執筆していただいた。
 社会のさまざまな分野での応用が紹介されていることからも自己組織化マップが有力なツールとして働くことを読者には感じていただきたい。(「はじめに」より)

目次

1章 SOMの基礎
 [1.1] SOMとはどんなものか
 [1.2] SOMの歴史
 [1.3] SOMとその仲間のモデルに必要な仕掛け
 [1.4] 内積型SOMとSOMの関係
 [1.5] マップの拡大率
 [1.6] 今後の自己組織モデルの発展
2章 事業戦略管理/マーケティングでのSOMの活用
 [2.1] 「客観的情報」から「情報の自己組織化」へのシフト
 [2.2] 事業戦略マップ
 [2.3] 各種連関マトリックス分析
 [2.4] 概念調査メソッド(今後の展望)
3章 経済分析へのSOMの応用
 [3.1] 移転支出とは
 [3.2] 移転支出およびその配分に影響を与える変数の自己組織化過程
 [3.3] 結論
4章 建設分野におけるSOMの応用
 [4.1] 地熱資源有望地域の抽出
 [4.2] 斜面崩壊予測システム
 [4.3] 地盤構造の推定
5章 日本語意味マップの自己組織化
 [5.1] 自己組織化神経回路網モデルSOM
 [5.2] 意味マップの自己組織化
 [5.3] 計算機実験
 [5.4] おわりに
6章 1次元位相近傍SOMとチップマウンタへの適用
 [6.1] SOM-TSP法
 [6.2] パラメータ・ガンマによる計算の高速化
 [6.3] チップマウンタへの適用
 [6.4] まとめ
7章 SOMを用いた顔画像認証システム
 [7.1] 認証システムについて
 [7.2] 視覚野モデルに基づく顔画像認証
 [7.3] 顔認証システムの処理手順
 [7.4] 顔認証システム
 [7.5] 大規模化と高速化の手法
 [7.6] 顔画像認識技術の応用
8章 自己組織化関係ネットワークとその適応制御への応用
 [8.1] 自己組織化関係ネットワーク
 [8.2] 自己組織化関係ネットワークの適応化
 [8.3] おわりに
9章 データベース/情報検索分野へのSOMの適用
 [9.1] トピック・ナビゲーション・マップの概要
 [9.2] 情報検索における問題点と対応
 [9.3] システム構成
 [9.4] システム機能とインタラクション
 [9.5] 関連研究との比較検討
 [9.6] おわりに
10章 SOMを用いた健康診断
 [10.1] 理解のためのデモ:動物分類マップの作成例
 [10.2] 健康マップの作成
 [10.3] まとめ