情報文化入門

片方善治・今井賢 著

情報科学と文化科学の融合であり、情報と文化のかかわりを研究する新しい学際的学問領域である「情報文化」の入門書。ドーキンスのミーム、マクルーハンのメディア論、カルチャーウェアなどを通して「情報文化」を考える。
[1999年4月、3版発行]

書籍データ

発行年月 1994年4月
判型 A5
ページ数 128ページ
定価 本体1,500円+税
ISBNコード 978-4-303-73100-7

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概要

 90年代に入って、急速に本格化した高度情報化の流れは、社会のあらゆる面にさまざまな影響を与えている。このような状況の中で情報について学ぶことの必要性が高まってきたのは当然であるといえよう。
 しかし、これまで情報を学ぶとき、多くは情報科学あるいは情報工学の立場に立ってのテキストを使うことが多かった。もともと、情報は人文・社会および自然科学の領域にまたがっている。
 このことから、前述のようなテキストで情報を学ぶ意義は深いが、ある一面を学んでいるだけではないかという指摘が出てくるようになった。そして、情報と文化を密接に関連づけ、「情報文化」というとらえかたで学ぶ方法が提案されるようになった。
 それでは、「情報文化」とは何か。この具体的内容についてはまだ確立されていないと言ったほうが、より誠実である。もちろん本書では、できる限りその実像を明らかにしたつもりであるが、「情報文化」は誕生したばかりの、これから成長していこうとする学問分野であることを再度強調したい。
 さて、「情報文化」のもつ意味を浮き彫りにするため、本書は次の各章から構成されている。本書を読み進める際の参考にしていただきたい。
 第1章 「情報文化」の探究に先立って「情報」の基礎的知識を情報文化の立場から整理する。
 第2章 情報科学の基礎から、社会科学的・人文科学的応用にいたるまで、とくに文化的側面を重視して解説する。
 第3章 「情報文化」に直接関係するような造形的・芸術的表現を中心とした記号論の基礎的概念を解説する。
 第4章 「情報文化」の概念と構造についてシステム論に立脚した試案、ならびに創造的適応システムのモデルを提示し、議論する。
 第5章 改めて、「情報文化」について既存の学問との関係、位置づけ、体系について多角的に見直し、併せて「情報文化」の具体的内容に迫る。
 本書は大学や短期大学の学生諸君に向けたテキストになるように、わかりやすく述べている。しかし、すでに情報について学んだ方々が、視点を新たに情報文化という複合領域を学ぶ入門書としてもお役に立つのではないかと考えている。(「はじめに」より)

目次

第1章 情報の基礎
 1.1 適者生存と情報
 1.2 物質、エネルギー、情報
 1.3 情報の定義
 1.4 資料・情報・知識
 1.5 情報の基本的性質
 1.6 情報の種類
 1.7 情報の価値
 1.8 情報価値と価格
 1.9 情報の有効性
 1.10 情報の機能とその本質
 1.11 情報とメディア
 1.12 情報の伝達
 1.13 情報の処理
 1.14 情報の制御
 1.15 情報の検索
 1.16 人間の頭脳とコンピュータ
 1.17 情報のネットワーク
 1.18 情報通信メディアの融合
 1.19 時間的情報と空間的情報
第2章 情報理論とその応用
 2.1 情報理論とサイバネティクス
 2.2 情報理論の歩み
 2.3 シャノンのモデル
 2.4 情報の量
 2.5 情報とエントロピー
 2.6 S/N比
 2.7 情報理論と確率過程
 2.8 シャノンの注目すべき定理
 2.9 符号化
 2.10 科学的な解析への応用
 2.11 大脳生理解析への応用
 2.12 心理学への応用
 2.13 経営科学への応用
第3章 記号論の世界
 3.1 3つの問題提起
 3.2 伝達の記号論
 3.3 記号社会と言語
 3.4 記号の構造
 3.5 芸術記号論
 3.6 意味生成の記号論
第4章 情報文化の構造
 4.1 情報文化の概念
 4.2 情報文化の3つの系
 4.3 情報文化の構造的把握
 4.4 情報文化と創造的適応システム
 4.5 情報文化と情報科学
 4.6 情報文化と情報工学
 4.7 今後の情報文化研究
第5章 情報文化論
 5.1 情報科学から情報文化へ
 5.2 情報文化とは何か
 5.3 情報文化の最終問題
 5.4 情報文化の新しい視点
 5.5 ドーキンスのミーム
 5.6 マクルーハンのメディア論
 5.7 文化の動態
 5.8 カルチャーウェア