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氷川丸とその時代
郵船OB氷川丸研究会 編 A5上製・336頁・定価(本体3,500円+税) ISBN978-4-303-63445-2 日本図書館協会選定図書 初版2008年2月発行
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| 本書序文 | |
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この度、横浜港に繋留中の氷川丸が一年間の改修工事を経て新生「日本郵船氷川丸」として再出発するのに合わせ、本書が三〇年振りの本格的な氷川丸研究書として上梓されたことは、誠に喜びに堪えません。昭和五(一九三〇)年四月、横浜船渠株式会社にて竣工した氷川丸は、当時としては最新鋭の技術と工夫を凝らし、アール・デコの優美なデザインで室内装飾を施された優秀貨客船でした。氷川丸は竣工後直ちに日本郵船のシアトル定期航路に就航し、その後、太平洋戦争の開戦、日本の敗戦、GHQによる占領、講和条約締結による独立、日本経済の復興という時代の流れのなかで、引揚船、病院船、復員船、内航輸送船、そして再びシアトル航路の定期貨客船へと、七生報国を地でゆく活躍をした、いわばスーパーレディともいえる船です。 現役を引退した後も、氷川丸は生まれ故郷の横浜に迎えられて山下公園地先に繋留され、観光施設として長年横浜市民の皆様、そして全国のファンの皆様に愛されて今日にいたりました。そしてその永い生涯は、同じ横浜にある日本郵船歴史博物館とともに運営される、我が国客船文化に関する唯一の本物の展示施設として、今また新たなスタートを切ります。 明治維新の開国に際して日本人が衝撃を受けたのは、先進欧米諸国が巨大な航洋船を蒸気機関によって自在に操り、人々や武器・商品などを載せて、東洋の諸国を威圧・交易して回る姿でした。長い鎖国の結果、大船の建造技術も操船能力も持たなかった日本人にとって、自国の乗組員を乗せて世界を雄飛する国産の商船隊を持つことは長い間の夢でした。氷川丸が活躍した時代はまさにその夢が叶い、世界中のどこにも負けない優秀船が国内で次々と建造され、日本の商船隊が七つの海を疾駆していたのです。 こうした輝かしい栄光にいたるまでには、わが国の海運事業者・船員・造船事業者たちの並々ならぬ苦労があった訳ですが、それがまた戦後日本の海運業・造船業の世界的発展の礎となったことは言うまでもありません。氷川丸はこうした苦難と栄光の歴史を今日に伝える唯一の生き証人であるといえます。 本書が一人でも多くの人に読まれ、氷川丸と日本の海運・造船の歴史に関心を持っていただき、海洋国日本の未来を担う次世代の涵養と育成につながることを心より願っております。(日本郵船株式会社取締役社長 宮原 耕治) | |
| 目 次 | |
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第1部 氷川丸の概要 第1章 氷川丸の生涯 1 氷川丸を建造した横浜船渠 2 戦前の挿話 3 戦争中、病院船として活躍 4 終戦直後、引揚者の輸送に奔走 5 民営還元で東奔西走 6 シアトル航路に復帰 7 惜しまれて引退、横浜港で展示船となる 8 帰らざる模型 第2章 氷川丸が就航したシアトル航路 1 シアトル航路の沿革 2 氷川丸誕生前後の時代的背景 3 北太平洋航路における競争船の状況 4 シアトル航路の船客輸送 第3章 氷川丸の設計・構造上の優秀性 1 ディーゼル船の優位と郵船の優秀船新造計画 2 氷川丸の設計・構造上の優秀性 第2部 氷川丸、波瀾の航跡 第1章 序説 1 建造の背景 2 激動の昭和という時代を見つづけてきた船 3 シアトル定期航路の歴史 4 船名の由来 5 構造の特徴 第2章 シアトル航路と氷川丸 1 シアトル航路小船史―三池丸から氷川丸建造まで 2 氷川丸の竣工 3 処女航海 4 シアトル航路の積荷と採算 5 姉妹船、日枝丸と平安丸の竣工 6 郵商協約 7 変わりゆくもの 8 客船の黄金時代、その料理人の系譜 9 無線電信と船内新聞 10 定期航路と郵便 11 近代郵便制度の創設と内外定期航路 第3章 太平洋の客船 1 太平洋の女王たちとその系譜 2 太平洋を渡った人たち 3 ロンドン海軍軍縮条約批准書を運ぶ 4 三池丸のシアトル入港三五周年記念祝賀会 5 チャップリンの乗船 6 室戸台風に遭遇 7 氷川丸で他界された嘉納治五郎氏 8 洋上のホスピタリティ 9 秩父宮ご夫妻の乗船 第4章 戦前の郵船の客船 1 浅間丸の座礁 2 太平洋戦争への序曲 3 浅間丸ドイツ船客拉致事件 4 太平洋戦争開戦前夜 5 太平洋戦争開戦の日 第5章 戦争と海運 第6章 海軍特設病院船・氷川丸 第7章 日米・日英交換船 1 日米外交官交換船 2 日英外交官交換船 3 第二次日米外交官交換船 第8章 女王たちの最期 1 龍田丸の遭難 2 鎌倉丸の遭難 3 氷川丸の姉妹船・日枝丸の遭難 第9章 戦後の日本海運 1 戦時補償の打ち切り、日本海運ゼロからのスタート 2 海運の民営還元 3 帰還輸送 4 一般邦人の引き揚げ輸送 5 内航の時代―北海道航路 6 氷川丸会、氷川会 7 旗の無い船―戦後初めての外航、食糧輸送 8 わが国産業の復興を担って 9 再び檜舞台へ 10 横浜港臨港列車と氷川丸 11 係船へ |
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