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感性商品学 ―感性工学の基礎と応用― 長町三生 編 A5・208頁・定価(本体2,600円+税) ISBN4-303-72820-9 ![]() ![]()
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| 概 要 | |
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感性工学(Kansei Engineering)という言葉は、それほど耳新しい言葉ではなくなってきた。フォード社のCEOであったピーターソンに『チームワーク』という著書があるが、同書中で「新しいモデル車トーラスは感性工学の手法によってつくられた」と述べ、そのおかげで同車はよく売れたと会心の笑みを浮かべている。韓国では、韓国人間工学会が感性工学のシンポジウムをたびたび実施できるほどの、高い関心を集めるようになった。こうした関心の高さは、国際会議などで「カンセイ・エンジニアリング」を紹介する際にも強く感じるところである。「感性工学」は、この研究に手を付けて20年ほどの間に、世界の最も新しい共通語になるまでに育ってきたとの思いがする。 わが国でも、この技術の力を見抜いている企業は、商品開発に上手に利用している。周知のように、造れば売れた時代は遠く去り、機能や性能だけで商品を売り込めた時代も過ぎて、今は消費者の感性に即した商品しか生き残れない時代へと変わってきた。バブル経済がはじけて、現在は消費が全体に冷え込んだ状況にあるが、こうした状況で左右される変化ではない。商品の値段を下げれば売れるのではなく、消費者の感性に応えていることが求められているのである。消費者の感性を的確にとらえ、それを商品のデザインに具体化できるかどうかが、売れるか売れないかのベクトルに作用する時代なのである。 人間という消費者が使用する機器は、元々人間中心の立場から設計されるべきであったのだが、企業の都合、生産技術上の理由などを優先する考え方がまかり通ってしまっていたのである。感性工学は、消費者の感性をとらえるところから始まり、それを商品という形に具体化する技術である。ここでは、消費者の感性や個性に中心をおいて商品デザインが考えられていく点に特徴がある。いわば、「消費者中心」「人間中心」に立った技術であると言えよう。しかし、この技術は、これまで商品開発に取り組んできた開発マンやデザイナーの肩代わりを目指すものではない。あくまでも、商品化を効率よく的確に進めるための支援技術なのである。このことは、本書を通読していただければよく理解されるものと思う。 本書第1章では、感性工学の考え方とその利用法を簡潔に説明している。最近の、エキスパートシステム、ニューラルネットワーク、ファジィ理論、遺伝的アルゴリズム、画像認識技術などコンピュータを利用した様々の手法の発展は著しく、曖昧な人間の感性処理、現実に近い画像の提示など感性工学にとっても大きな福音となっているが、先端技術の支援が不可欠というわけではない。基本的な考え方に沿ってマニュアル的な取り組みもできる。 新商品企画には消費者、すなわち市場の動向の把握は欠かせないが、第2章、3章はその把握にデザイナーはどのような手法を使って、いかに取り組んでいるかを述べるとともに、商品デザイン開発に感性工学の手法を適用した試みを報告している。 第4章は、感性工学とも重なる領域をもつ心理学の手法を、商品開発に適用した事例が紹介されているが、この分野の事例が少ないだけに貴重であろう。第5章以下に、種々の業界における感性工学の応用事例を取り上げた。中でも、家電、乗用車、住宅産業分野は、これまでも比較的消費者の動向に高い関心を払ってきた業界であるが、その取組み方にそれぞれの特色が現れている。一方、建築、建設機械のような前者とは対照的であった業界における事例は、その導入に至る背景とそれに即した取組みが興味深い。感性工学は発展の途上にある技術分野であるが、本書のように、基礎から応用までを含めて一書にまとめたのは、初めての試みである。 執筆者はいずれも日本工業技術振興協会の「感性工学とデザイン研究会」の仲間達であり、それぞれの分野で、感性工学の応用と実用化のために努力している人たちである。そのためか、非常に理解しやすく執筆されている。新製品開発に従事されている実務者、あるいは新製品開発に関心をお持ちの関係者、またデザインの分野に学ぶ学生諸君にぜひとも読んでいただきたい。(「はしがき」より) | |
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