デザインセクションに見る
創造的マネージメントの要諦

山岡俊樹 編著

A5・224頁・定価(本体2,600円+税)
ISBN4-303-72726-1
初版2005年7月発行

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 概 要
この本の執筆者のベースになったのはデザインマネージメント研究会のメンバーである。さらに、メンバーの他に何人かの方にお願いをしてこの本が完成した。

本書はデザイン系部門を取り上げているが、デザイン系セクションやデザイナーだけのものではない。21世紀では創造性が企業のいちばんの武器になるという視点から重要となるデザイン部門に関するマネージメントについて書かれているが、デザイン系セクションのマネージメントが他の部門の方々のマネージメントにも参考になるという考えで本書は企画されている。

ドラッカーは、20世紀は製造業において肉体労働の生産性を50倍に引き上げ、21世紀では知識労働の生産性を同様に上げることだと言っている。また、今後のマネージメントは技術とその用途を基盤にするのではなく、顧客に視点を絞って行えとも言っている。これはハードウエア優先でなく、顧客のニーズにウエイトを置いて製品開発せよという意味と捉えることもできる。生活が豊かになった21世紀では、このような状況からユーザニーズに立脚したモノ作りは当然であるが、なかなかこの方向にベクトルを切れない企業が多い。その理由は下記の通りである。
  1. 従業員の守備範囲が狭い
    技術一筋何十年の人に製品企画せよと言っても難しい。
  2. 企画やデザインなどの活動は進むべき方向を示すレールが引かれていない
    技術の世界だとだいたい予測がつくが(たとえば、製品の本体を小さくするとか、軽くするとか)、企画やデザインなどのユーザニーズに基づく曖昧な方法ではリスクが多すぎるとの考え方。
  3. 企画やデザインなどは企業の総力戦体制が必要となる
    マネージメント力のない企業ではこの総力戦体制を取りにくいので、わかりやすい技術に傾注しがちである。
もちろん、技術力は必要で製品開発の重要なポジションを占めていくが、それだけではない。現に、技術力を誇示していた企業よりもマネージメント力のある企業が勝ち組みになっているようである。つまり、企業の理念を示し、組織を構築し、どのように人を活用していくのか―これらの仕組みについて経営学ではいろいろな方法が提唱されている。これらの方法を俯瞰してみると、共通している要素がシステム設計であることに気がつく。ここで言うシステム設計とは、システム(製品)の目的を決め、コンセプトを構築し、システム設計と評価を行うプロセスを通してシステム(製品)を構築する方法である。しかし、この単純なプロセスを欠いている企業が多い。たとえば、製品の目的を明確に決めていない、あるいは企業で言えば理念を決めているが従業員にそれを徹底させていないなど。そのため、企業理念を知らず間違ったディレクションを行ってしまうなど最近の企業の不祥事を見てもわかる。製品開発でも、コンセプトを厳密に決めずに、出たとこ勝負の製品開発で開発時間が非常に長くかかったとか、ユーザニーズとはかけ離れたエンジニアのみが満足する製品開発をしてしまったとか。その事例には事欠かない。このような失敗をなくすのがシステム思考であり、何事においても必要であると考えている。

このようなことを考慮して本書を読んでいただくと、理解が促進されると思う。本書は、前半の理論編と後半の応用編に分かれている。理論編では基本的な考え方や知っておいてほしい情報などが紹介されている。応用編では実際の企業でのマネージメント例が紹介されている。ここで紹介されている企業での定量的マネージメントは、営業や技術などの他部門でも活用できる実用的な方法である。ぜひとも参考にしてほしい。(「まえがき」より)
 
 目 次
第1章 デザイン部門の創造的マネージメント
     (和歌山大学・山岡俊樹)

     [1.1]デザインを取り巻く環境の変化
     [1.2]デザインの領域拡大
     [1.3]企業経営の視点からデザインマネージメントを考える
     [1.4]デザインの機能からデザインマネージメントを考える
     [1.5]デザインの組織からデザインマネージメントを考える
     [1.6]人材育成を考える

第2章 マネージメント論とブランド論
     (大阪府産業デザインセンター・嵯峨昇)

     [2.1]マネージメント論
     [2.2]ブランド論

第3章 戦略的デザインマネージメントの課題と方法論
     (株式会社イード・井口博美)

     [3.1]商品レベルの「デザイン戦略」から経営トップ主導の「戦略的デザイン」へ
     [3.2]戦略的デザインマネージメントのための概念モデル
     [3.3]「戦略的デザイン」に向けての3大強化策とマネージメントツール

第4章 知財マネージメントの重要性
     (特許庁・森則雄)

     [4.1]デザインに関係する知的財産権
     [4.2]デザイン創造サイクル
     [4.3]開発・権利化段階におけるデザイン知財のマネージメント
     [4.4]権利活用段階におけるデザイン知財のマネージメント
     [4.5]海外におけるデザイン知財のマネージメント

第5章 クリエイティブな活動の成果評価
     (セイコーエプソン株式会社・鈴木進)

     [5.1]評価について
     [5.2]目標管理と成果評価システムの確立
     [5.3]評価システムの構成
     [5.4]デザイナーの評価システムの実践
     [5.5]評価システムの応用
     [5.6]まとめ

コラム:先行開発組織を創るときの落とし穴
     (拓殖大学・竹末俊昭)


第6章 デザインの効用
     (レッキス工業株式会社・玉置英樹)

     [6.1]中小企業における新製品開発はひとつ詰めを誤れば企業の命取りになる
     [6.2]社内改革は「温故知新」から始まる

第7章 ユーザーエクスペリエンスを考慮したデザインマネージメント
     (日本IBM・山崎和彦)

     [7.1]IBMのデザインマネージメント
     [7.2]日本IBMのUEデザインセンターのアプローチ
     [7.3]日本IBMのUEデザインセンターのマネージメント

コラム:ネット社会におけるデザインマネージメント
     (拓殖大学・竹末俊昭)


第8章 機能分社とデザインマネージメント
     (積水樹脂株式会社・松村章)

     [8.1]デザインの機能
     [8.2]デザインマネージメント

第9章 ユニバーサルデザインの推進活動
     (オムロン株式会社・貝ア勝)

     [9.1]オムロンのデザイン機能
     [9.2]ユニバーサルデザインの概要
     [9.3]オムロンにおけるユニバーサルデザイン
     [9.4]ユニバーサルデザインの取り組み事例
     [9.5]企業の社会的責任としてのユニバーサルデザイン

コラム:デザイナー資質考
     (拓殖大学・竹末俊昭)


第10章 グローバルデザインにおけるコラボレーション
     (松原HCDデザインオフィス・松原幸行)

     [10.1]グローバルデザインの現状
     [10.2]デザインとマネージメントの実践
     [10.3]今後の課題と展望


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