インキュベーションマネジメント
―新たな事業創造の推進力―


池田 裕一 著
A5・190頁・定価(本体1,800円+税)
ISBN4-303-72550-1
初版2002年7月発行

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 概 要
インキュベーションのブームが高まりつつある。

ITバブル崩壊後、ネットベンチャーブームは静まったが、長引く景気低迷の中、再びベンチャービジネスや企業内新事業開発が活気づいている。国としてもベンチャー創出構想が打ち上げられているし、民間企業もその半数以上が新商品や新事業の開発に取り組んでいる。そして、こうしたベンチャービジネスを支援する動きも活発だ。国や自治体の中小企業支援施策をはじめ、金融機関やベンチャーキャピタルが支援してきた。さらに最近では、全国各地にインキュベーション機関が設立されるなど、支援が活発化してきている。民間企業においても、社内ベンチャー制度や新事業開発室設立など、組織的に新事業を生み出す仕組みが見受けられる。

インキュベーションという言葉は、本来「孵化」という意味で、ベンチャービジネスにあっては、創業間もないビジネスを育成し、事業として一人前にするまで支援することをいう。本書では、インキュベーションをベンチャー企業の創出だけでなく、企業の新事業創造活動として広く捉えている。

景気が低迷している今日にあっては、このインキュベーションのマネジメントこそが重要となってきている。というのは、景気がよければ、比較的、新しい発明や技術が産業に貢献しやすい。ところが、景気が悪いと、いくらいい発明や技術を持っていても、なかなか商売に結びつかない。市場に商品・サービスがあふれているので、よほど画期的な発明でない限り大きな需要となりにくい。もちろん、先見性があって、商売感覚に精通している開発者は、こんな時代でも業績を伸ばしている。しかし、多くのベンチャー企業や企業内新事業は、新商品を発売しても、ある規模まで事業拡大するのに大変苦労しているのが現状である。そこで必要なのがインキュベーションマネジメントなのである。

従来のインキュベーションマネジメントは、資金の援助、場所の提供、交流セミナー開催など、どちらかといえばスタティックな支援が主体であった。しかし、こうした支援だけでは、生き残りをかけて日々事業活動をしている中小企業・ベンチャー企業や起業家との間に温度差が出てきてしまう。

今後のインキュベーションマネジメントにあっては、もっと事業開発側に近寄って、または自らも事業開発者として、事業機会づくりや事業拡大など、ダイナミックな支援をもすべきである。もっとも、インキュベーターの中でも、思いのある個人はそれを実践しつつある。

その際、マネジメント側には「事業を見る目」「モチベーション」「事業化できること」が求められる。「事業を見る目」がないと、いくらいい技術でも事業化させにくい。技術を見て、どのような事業に発展させられるかを見極めるセンスが必要である。このセンスは、これまでの経験から得た知見や日々の行動で培われる。「モチベーション」とは、いかに起業家を活性化させて良い成果を上げさせられるかということである。そのためには、中小企業・ベンチャー企業の社長や起業家と1対1で対話し、共感し、共同推進していくことが求められる。「事業化できること」とは、ベンチャービジネスは事業化が第一目的であり、いかに事業を大きくしていくかが課題となる。事業を拡大していくためには、関係者を組織化し、持てる資源を最大限に活用し、技術や製品を市場に適合させていく力が不可欠である。

本書は、こうしたこれからのインキュベーションマネジメントについて、事例や手法を通じて解説している。とくにインキュベーションマネジメントのありかたやマネージャーのあるべき姿について課題を提起した。 (「はじめに」より)
 
 目 次
第1章 インキュベーションの実情
   1-1 意気揚々と創業したけれど(事例1)
   1-2 スポンサーの苦悩(事例2)
   1-3 事業創造スキームの機能不全
   1-4 インキュベーションの現場
   1-5 ベンチャービジネス側の課題
   1-6 新しい事業創造

第2章 事業創造の動き
   2-1 ベンチャー企業の新たな事業創造
   2-2 インキュベーションの動き
   2-3 中小企業の事業拡大事例

第3章 インキュベーションマネジメント
   3-1 事業化の難しさ
   3-2 起業家とスポンサーの悩み
   3-3 インキュベーションマネジメント
   3-4 事業育成のマネジメント
   3-5 事業融合のマネジメント

第4章 成長分野と事業機会
   4-1 IT
   4-2 福祉
   4-3 エネルギー
   4-4 環境
   4-5 微細技術
   4-6 小売・サービス

第5章 事業開発・事業育成の手順
   5-1 困ったニーズ集
   5-2 顧客プロセス研究による潜在ニーズの収集
   5-3 新商品・新事業アイデアの精査
   5-4 事業開発の手順
   5-5 事業育成の手順
   5-6 事業の判断視点

第6章 連携のマネジメント
   6-1 提供価値と強みのマッチング
   6-2 連携の進めかた
   6-3 提携の留意点

第7章 イノベーション人材づくり
   7-1 基礎編
   7-2 応用編
   7-3 イノベータの交流

第8章 サロンという場
   8-1 新しいものを生み出す場
   8-2 サロンで大事なこと

第9章 マネージャーのあるべき姿
   9-1 インキュベーションマネージャーの能力
   9-2 マネージャーの3側面


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