感性工学シリーズ2
デザインと感性

井上勝雄 編
執筆者:広川美津雄/河原林桂一郎/長沢伸也/森典彦/土屋雅人/若松正晴/原田利宣/蓮見孝/高橋克実

A5・288頁・定価(本体2,900円+税)
ISBN978-4-303-72392-7
日本感性工学会出版賞受賞(2005年度)
初版2005年6月/第2版2009年9月発行

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 概 要
感性工学の考えかたが誕生するのと時期をそれほど違うことなく、インダストリアルデザインの研究分野でも製品デザインに科学的な視点からアプローチする考えかたが生まれた。デザインは創造的な行為のため科学または工学には馴染まないというのが、それまでの通説であった。しかし、コンピュータや半導体技術などを代表とする科学技術の革新によって、人間の感性を数値化できる統計的手法が実行可能になったことや、小型高性能で使いやすい各種の測定器が身近に使えるようになると、重要な経営戦略の1つとなっている製品開発のデザインにリスク管理の視点から科学的にアプローチすることが経営側からデザイン部門に求められた。つまり、成功するデザインや失敗から学べるデザインの方法論が求められたのである。

この要請が遠因となって、1989年の日本デザイン学会第10回春季大会のテーマ「新しいデザイン方法論を探る」から、製品デザイン開発の科学的、とくに工学的な視点からの方法論が森典彦らを中心に本格的に研究されるようになった。そして、デザインを研究することは人間の感性を研究することと結びつくため、これらの感性工学とデザイン工学というべき流れを統合する出来事として、1999年に日本感性工学会が設立された。初代の会長はデザイン分野から招聘されたことがそれを物語っている。また、多くのデザイン関係者も日本感性工学会に登録している。

したがって、本書は、感性工学会で活躍しかつ工学的なデザイン方法論の研究および実践を行ってきたメンバーに執筆をお願いした。また、デザイン方法論でも感性工学でよく用いられている多変量解析やファジィ理論、グラフ理論、ニューラルネットワーク、ラフ集合のデザインへの適用研究が行われているが、それらの手法の詳しい解説は本シリーズ第1巻『商品開発と感性』に譲る。本書では、それらの手法がデザイン開発のどのような場面(デザインプロセスの段階)でどのように使われるかを中心に解説する。

今日では、成功するデザインは斬新なデザインだけではなく、永く使われるロングライフのデザインや、急速に進んだ高齢社会に対応したユニバーサルデザイン、環境問題にも十分配慮したデザイン、そして、情報化社会に移行することで求められる使いやすくわかりやすい情報機器・端末のインタフェースデザイン(ユーザビリティ評価も含む)や、デザイン設計支援システム(CAD)などのデザインのデジタル化といった多角的な視点からのアプローチがあってはじめて実現する。また、成功するデザインを生み出すデザイン組織運営としてのデザインマネージメントに関する視点も今日では必須である。さらに、成功するために必要なデザインコンセプトやマーケティング、デザイン評価も従来から変わることのない重要な視点である。

これらの視点を各章にして、その代表的な専門家が執筆者となっている。本書は感性工学の立場から書かれたデザインの本であるが、広くデザイン教育のための教科書としても、十分にその役割を果たすことができると考えている。したがって、大学や企業におけるデザイン教育の教科書または副読本として活用していただくことを期待している。なお、デザインの教科書に必要不可欠な色彩関係の内容は、本シリーズの第3巻『色彩と感性』で詳しく解説する。(「はじめに」より)
 
 目 次
1章 インダストリアルデザイン
     [1.1]はじめに
     [1.2]デザインと感性の関係
     [1.3]要素還元主義の哲学
     [1.4]商業主義と品質
     [1.5]情報化社会
     [1.6]今後のデザイン

2章 デザインコンセプト
     [2.1]はじめに
     [2.2]デザインと製品開発
     [2.3]デザインコンセプトの理解と今日的課題
     [2.4]要件の分類
     [2.5]デザインコンセプト策定の手順
     [2.6]デザインコンセプト策定手順の応用例
     [2.7]おわりに

3章 デザインマネージメント
     [3.1]デザインマネージメントの領域
     [3.2]戦略的デザインマネージメント
     [3.3]機能的デザインマネージメント
     [3.4]質的デザインマネージメント
     [3.5]デザインマネージメントによるバリューチェーン化
     [3.6]経営戦略としてのデザインマネージメント
     [3.7]定量化によるデザインマネージメント
     [3.8]カラーテレビの例
     [3.9]IT時代のデザインマネージメント
     [3.10]サービス・コンテンツのデザイン
     [3.11]価値連鎖構造のデザインマネージメント
     [3.12]ITネットワーク型デザイン活動
     [3.13]コラボレーション(共創)型デザイン活動
     [3.14]デザインの上位概念を目指して

4章 デザインとマーケティング
     [4.1]はじめに
     [4.2]マーケティングの考えかた
     [4.3]マーケティング戦略
     [4.4]マーケティングリサーチと商品企画
     [4.5]感性マーケティング

5章 デザイン方法論
     [5.1]はじめに
     [5.2]デザインプロセスのどこに方法を使うのか
     [5.3]方法を使って何を知るのか
     [5.4]構造の同定とその方法
     [5.5]因果の推定と方法
     [5.6]まとめ

6章 インタフェースデザイン
     [6.1]はじめに
     [6.2]インタフェースデザインの設計対象
     [6.3]インタフェースデザインの設計要素
     [6.4]インタフェースデザインのプロセス
     [6.5]インタフェースデザインのガイドライン
     [6.6]情報の視点からのインタフェース
     [6.7]目的型インタフェースデザイン
     [6.8]ユーザーニーズの把握
     [6.9]次世代インタフェース

7章 ユーザビリティ評価
     [7.1]インタフェースデザイン
     [7.2]ユーザビリティ

8章 デザイン評価
     [8.1]はじめに
     [8.2]概念的な評価モデル
     [8.3]順評価
     [8.4]逆評価
     [8.5]評価項目の求めかた

9章 デザインのデジタル化
     [9.1]はじめに
     [9.2]コンピュータ支援の概要とデザインプロセス
     [9.3]各デザインプロセスにおけるコンピュータ支援
     [9.4]おわりに

10章 ユニバーサルデザイン
     [10.1]ユニバーサルデザインの背景
     [10.2]ユニバーサルデザインの類縁概念
     [10.3]ユニバーサルデザインの基本概念
     [10.4]ソーシャルデザインとしてのユニバーサルデザイン
     [10.5]ユニバーサルデザインの将来性

11章 デザインの組織と経営
     [11.1]はじめに
     [11.2]職業としてのデザイン
     [11.3]インハウスデザインの組織と経営
     [11.4]外部委託としてのデザイン企業
     [11.5]デザイン企業の経営
     [11.6]デザイン研究とデザイン経営
     [11.7]これからのデザインビジネス


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