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ラフ集合と感性
―データからの知識獲得と推論― 森 典彦・田中英夫・井上勝雄 編 A5・200頁・定価(本体2,400円+税) ISBN4-303-72390-8 日本感性工学会出版賞受賞(2004年度) 日本知能ファジィ学会著述賞受賞(2005年度) 初版2004年4月/第2版2006年4月発行 ![]() ![]()
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| 概 要 | |
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今日、ラフ集合という新しい数学が、医学や工学、マーケティング、社会学などの多くの応用分野から熱い注目を浴びています。十数年前に、ファジィ理論がマスコミの話題になり、洗濯機やカメラなどの身の回りにある製品に使われはじめたのは記憶に新しいところです。現在では広い分野の製品の中に裏方として使われています。ラフ集合は、このファジィ理論を取り巻く数学的な考えかたの流れに類似しています。ラフ集合は1982年にポーランドのZ. Pawlak教授によって提案され、その応用のルール抽出も同教授により提案されています。ラフ集合では、同値関係や類似関係などによる集合を知識と考え、与えられた集合をこの知識で表現するのに、2つの近似の方法(ラフ近似)を提案しています。この概念を通常のデータ解析に応用した研究がなされています。また、不完全情報を持ったデータベースの検索でも用いられています。
本書は、2002年12月に開催されたラフ集合理論の研究グループとデザイン系の感性工学の研究グループとの共同によるワークショップを契機に企画されました。ワークショップにおける交流の中で、今後の応用での発展が期待されるラフ集合の書籍は海外で多く英文で出版されていますが、日本語での書籍がまったくないことが話題になりました。そこで、その出版を強く希望するラフ集合の応用側の感性工学研究グループが中心になって企画立案されました。したがって、本書は日本で最初の日本語で書かれたラフ集合の本となります。 このような背景から、本書の内容の大きな特徴は、ラフ集合の応用の視点からの入門書と事例書、理論書の3つの本を一冊にまとめたところです。そこで、入門・事例編と理論編の2部で、つまり、前半の「感性工学のためのラフ集合」と後半の「応用のためのラフ集合の理論」とで本書は構成されています。その違いを明確にするために、文章の文体を両者で異なるものにしています。また、ラフ集合を理解するためには、実際に身の回りのテーマで使ってみるのが近道です。しかし、ラフ集合の計算はサンプル数が多くなるとパソコンの助けが必要になります。そのために、本書で使われているソフトウェアについては、入手を希望する読者がインターネットから購入することができるような仕組みを築きました。そのソフトウェアの使いかたと入手方法は第2章で紹介しています。 数学的な知識に自信のない大学生や社会人の読者は、前半の入門・事例編で十分理解できるように編集しています。一方、数学的知識を持つ専門家の読者は、後半の理論編から読み、前半の応用事例で、ラフ集合の内容理解の補強を行うことができます。 以上のことをまとめる意味で、本書の各章の具体的な内容について以下に記します。入門・事例編の最初である第1章は、ラフ集合の考えかたを数学的な用語や表現をできるだけ抑えて、平易に解説しています。ラフ集合の概念的な考えかただけを知りたい読者は、この章を読むだけで十分理解できるように書かれています。次の第2章は、ラフ集合の使いかたを実際に体得したい読者に向けて、前述したラフ集合のソフトウェアの使用法について解説しています。とくに、卒業研究や修士論文作成でラフ集合を応用したい学生には最適です。 第3章から第6章は、感性工学研究グループが行った事例研究を紹介しています。ラフ集合の応用に興味のある読者には、具体的な理解が深まると考えます。それ以外の読者にもラフ集合を深く理解するための良い例題になると思います。ただし紹介した感性工学への応用の事例はラフ集合の体系から見ればまだほんの一部を応用したにすぎません。対応して第1章もそれに関連する部分を中心に解説していますし、第2章のソフトウェアもこれらの事例に類した分析に必要なものに限っています。また事例ではラフ集合の分析のあとにいろいろな処理、解釈を加えていますが、それらはラフ集合とは関係なく、多くは統計的見地からなされています。 第7章と第8章は、ラフ集合の理論を第一線で研究している研究者によって書かれた応用に関する理論編です。専門用語を用いながら、応用に使えるラフ集合の理論分野に焦点を絞り、数学的にはできるだけ平易に解説してあります。とくに、第7章はラフ集合の導入となる基礎的な考えかたを解説しています。この章を理解することで、次の第8章の内容がよりわかるように配慮してあります。(「はじめに」より) | |
| 目 次 | |
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第1章 ラフ集合の応用入門 [1.1]はじめに [1.2]特徴の把握 [1.3]集合について [1.4]情報表と縮約 [1.5]決定表と識別行列 [1.6]決定行列と決定ルール [1.7]決定表の指標 [1.8]ラフ集合による知識獲得と推論 [1.9]自動車の応用事例 [1.10]その他の応用 [1.11]ラフ集合と従来手法の比較 第2章 ラフ集合ソフトウェアの使用方法 [2.1]推奨システム構成 [2.2]解析ソフトウェアの入手方法 [2.3]ラフ集合ソフトウェアの実行 [2.4]詳細情報 第3章 ラフ集合を用いて携帯電話ユーザーの特性を知る [3.1]ユーザーと使用状況の関係を考える [3.2]使用する機能からユーザーを分類する [3.3]使用状況を調べる [3.4]ラフ集合理論を用いてユーザーグループの使用上の特徴を探る [3.5]決定ルールからユーザーグループの特性を考える [3.6]おわりに 第4章 決定ルール分析法の提案 [4.1]感性工学について [4.2]決定ルール分析法の提案 [4.3]決定ルール分析法の求めかた [4.4]デジタルカメラによる事例 [4.5]まとめ 第5章 多人数ルール条件部併合システムの応用例 [5.1]はじめに [5.2]ラフ集合と多人数ルール条件部併合アルゴリズム [5.3]ユーザーのオーディオ製品に関する選好調査 [5.4]併合方法の違いによる併合ルール条件部の算出とその比較 [5.5]まとめ 第6章 グレードつきラフ集合 [6.1]はじめに [6.2]概念、定義、データ [6.3]決定行列 [6.4]決定ルール条件部の導出と知識表現 [6.5]応用例:クルマのフロント部分のメーカー別特徴を把握する [6.6]まとめ 第7章 ラフ集合に関する数学的準備と概念 [7.1]ラフ集合による近似 [7.2]同値類とは [7.3]属性の縮約とIf Thenルールの抽出の概念 第8章 ラフ集合と決定表の解析 [8.1]はじめに [8.2]ラフ集合の定義と性質 [8.3]情報表と識別不能関係 [8.4]決定表におけるラフ集合 [8.5]識別行列による縮約の計算 [8.6]決定行列による決定ルールの抽出 [8.7]上近似の利用について [8.8]おわりに―ラフ集合理論の展開 |
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