舷窓百話

鈴木邦裕 著

船長、教師、海事補佐人として、海の世界を長年歩んできた著者が語る、一度は聞いたことのある言葉の起源や、名をよく知られた偉人たちの秘話など、海と船に関する常識、迷信、うんちくなどを百話収録。「ネルソン提督の血」「セーラー服」「一三日の金曜日」「消えていた島」他。
10話ずつまとめた分冊(PDF版電子書籍、本体価格各280円)をDLmarketで販売中。

書籍データ

発行年月 2017年5月
判型 A5
ページ数 392ページ
定価 本体2,800円+税
ISBNコード 978-4-303-63448-3

DLmarket

概要

 舷窓百話と題した本書は、長年に亘って、事あるごとに書き綴ったものを、海の後輩たちのために役立てようと念願し、とりまとめた海の常識話である。
 本書の内容は、そのほとんどが、よく知られたもので、いずれも先人によって書かれていることばかりである。しかし、これから船乗りを志す人たちや若年船員にとっては知らない話が多かろうと出版を企画したのである。
 私の持論だが、海難防止のためには運用術の習得が不可欠である。運用術とは海の常識に他ならず、舷窓百話の多くは船乗り必須の物語(常識)である。
 百年前も現在でも、海上における衝突、乗揚げ海難の原因の大多数は「不埒な当直者の見張りの怠り」であるのに、これを前提としない、常識外れな海難防止論が多いのには仰天するばかりである。
 この世は常識で動いている。海難防止に関する提言や施策あるいは海難審判所の裁決が海の常識から外れていて、どうして海難の防止を図ることができよう。
 本書後半の部分は海難防止に関する私の提言である。
 独断と偏見をお許し願うとして、「先例(常識)を知り」それを反面教師とすることによって大多数の海難や労働災害は未然に防止できるのであり、運用術(常識)を教育しないのは船員教育とは程遠く、熟練船員を養成する機関(者)とはいえないだろう。(「あとがきにかえて」より抜粋)

目次

舷窓百話余瀝―舷窓(神戸商船大学名誉教授 杉浦昭典)
《第一話》平和主義
《第二話》ふざけた言葉
《第三話》ネルソン提督の血
《第四話》ある論争
《第五話》蒙古来襲絵詞と愛国心
《第六話》メデュースの筏―海水は飲めるのか
《第七話》水難よけの呪術
《第八話》独学の欠点
《第九話》幸福の尺度
《第十話》宗教人
《第十一話》ごますり
《第十二話》世渡りと淮陰候韓信の逸話
《第十三話》初めてのアメリカ
《第十四話》海員魂
《第十五話》秋山真之の視線
《第十六話》進徳丸船歌
《第十七話》えひめ丸事件のこと―衝突地点はどこか
《第十八話》外国語雑感
《第十九話》鈴波―津波と船
《第二十話》灯台守
《第二十一話》悪魔島デビルズ
《第二十二話》見習士官から船長へ
《第二十三話》運の良し悪し
《第二十四話》いろは丸事件と竜馬
《第二十五話》海水風呂
《第二十六話》坂の上の雲異聞―久松五勇士
《第二十七話》甲板長の号笛の歴史
《第二十八話》迷走した船
《第二十九話》昔の船員教育―給仕の知識
《第三十話》へりおす浮上
《第三十一話》ねずみ上陸と犬の効用
《第三十二話》労働災害防止の諺、安全標語
《第三十三話》舶来信仰
《第三十四話》肉じゃが誕生秘話
《第三十五話》超法規的措置の功罪
《第三十六話》水を浪費する者は共同の敵
《第三十七話》洋中に真水を得る秘法
《第三十八話》海の諺百選
《第三十九話》セーラー服
《第四十話》一七六九年タヒチにて
《第四十一話》SOS談義
《第四十二話》コミック旗―深紅のキャミソール
《第四十三話》ハックルベリー・フィンの冒険
《第四十四話》望月望郷詩
《第四十五話》ブルック海尉の日記
《第四十六話》怪しげな衝突時刻
《第四十七話》三匹の蛙が船を導く話
《第四十八話》舷灯談義―右は緑に左紅
《第四十九話》仕事船長、言うこと機関長
《第五十話》商船における秩序維持
《第五十一話》睡眠時無呼吸症候群と海難
《第五十二話》船長の由来
《第五十三話》第五海洋丸の遭難
《第五十四話》誰から先に乗船するか
《第五十五話》進水式夜話
《第五十六話》海の家紋
《第五十七話》指南車と羅針盤の雑学
《第五十八話》号鐘談義
《第五十九話》曳航の戦い Tug-of-war
《第六十話》海技免状―甲乙丙
《第六十一話》暦の効用―月蝕の計算
《第六十二話》船とイルカ
《第六十三話》舟偏の字は二四六字
《第六十四話》春一番風信
《第六十五話》女人禁制
《第六十六話》消えていた島
《第六十七話》乗組員数、今昔
《第六十八話》船乗りの心得
《第六十九話》舟幽霊
《第七十話》コロンブス第四回航海と月蝕
《第七十一話》天変
《第七十二話》サウス・ジョージア島
《第七十三話》鳥島
《第七十四話》ロビンソンクルーソー島
《第七十五話》宝島
《第七十六話》木星を船灯と誤認した話
《第七十七話》「丸」の由来
《第七十八話》赤道祭のやり方
《第七十九話》面舵、取舵、宜侯
《第八十話》一三日の金曜日
《第八十一話》ロープを知る―Know the rope
《第八十二話》サミュエル・プリムソルを記念して
《第八十三話》サムナーラインの発見
《第八十四話》生き残った三等航海士
《第八十五話》無言の再見―三度沈没した伊号第三拾三潜水艦
《第八十六話》潜水艦なだしお・遊漁船第一富士丸衝突事件
《第八十七話》究極の天測技法
《第八十八話》船と星座
《第八十九話》最大で最後の帆船レース
《第九十話》水主のこと
《第九十一話》海図の第一号は「釜石」
《第九十二話》百年一日の如し―昔の海技試験
《第九十三話》海難事故原因を判断する者に求められる基礎知識
《第九十四話》見張りの要諦
《第九十五話》衝突のこと―不埒な当直者百選
《第九十六話》視界制限状態におけるレーダー情報処理上の問題点―霧中衝突の根絶を目指して
《第九十七話》こんなことをするから乗り揚げる
《第九十八話》用便と海難
《第九十九話》良栄丸哀話
《第百話》瀬戸内海談義
あとがきにかえて

プロフィール

鈴木 邦裕(すずき くにひろ)
1937年愛媛県生まれ。1957年弓削商船高等学校(専攻科)航海科卒業。外国航路航海士、船長を経て、1970年から海事補佐人。潜水艦なだしお遊漁船第一富士丸衝突事件では富士丸側の補佐人を務めた。弓削商船高等専門学校、神戸商船大学非常勤講師、神戸大学客員教授(大学院海事科学研究科)を歴任
著書に『ヨットマンの航海術』『コンピュータ航法プログラム集』『天体位置略算式の解説(共著)』『内航船の海上安全学』『いろは丸事件と竜馬』『究極の天測技法(共著)』(いずれも海文堂出版)など
現、海事補佐人、一般社団法人船舶安全機構理事、船舶安全サービス株式会社副社長
松山市在住