咸臨丸の絆

―軍艦奉行木村摂津守と福沢諭吉

宗像善樹 著

福沢諭吉は木村摂津守の計らいにより咸臨丸に乗船することが出来た。このときアメリカの地を踏まなければ、後の福沢はなかったかもしれない。本書はあまり知られていない咸臨丸での二人の交流に焦点を当てるとともに、下船後も続いた深い親交について、木村家以外の門外漢では知り得ない貴重な資料を駆使して語っている。

書籍データ

発行年月 2014年8月
判型 四六上製
ページ数 256ページ
定価 本体1,600円+税
ISBNコード 978-4-303-63431-5

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概要

 福沢諭吉と木村摂津守喜毅(芥舟)の深い親交は終生続いた。
 福沢諭吉は木村摂津守喜毅に願い出て咸臨丸に乗船でき、アメリカへ渡れたことから、喜毅を終生「木村様」として報恩の念を持ち続け、木村は四歳年下の福沢諭吉の能力を認め終生「先生」と敬った。
 もし、木村喜毅が明治新政府の要請に応じて出仕していれば、二人の間の逸話も後世にいろいろと紹介されたことだと思う。
 だが、木村喜毅は幕臣としての生涯に徹し、歴史の表舞台から姿を消した。
 そのため、木村家で語り伝えられてきた福沢諭吉との生涯の交友秘話は知られていない。
 幸い、筆者の身内が木村芥舟の娘清せいの孫および曾孫という関係にあることから、清が生前孫に語り聞かせた木村芥舟と福沢諭吉の深い親交の逸話を知ることができた。
 これらの言い伝えの中には、世にあまり知られていない二人だけの会話などもあり、木村芥舟と福沢諭吉の真情を知る上で非常に興味深い。
 これらの言い伝えや話を聞いているうちに、いわば、語られている話の行間から、今まで作られてきた咸臨丸航海にまつわる歴史の裏側にある真実と、そのときの時代の思惑によって隠され、曲げられた、咸臨丸航海の実相が透けて見えてきた。
 この作品は、参考文献や資料に書かれている事実や出来事、そして、清や木村一族が語り伝えた逸話を基に書き起こした歴史ドキュメントである。
 作品を書き上げ、しみじみ想うことは、「福沢諭吉と木村喜毅が共に咸臨丸に乗り、怒涛の太平洋を越えてアメリカへ渡ったことは、幕末、明治の動乱期を生き抜くふたりの男の、それぞれの自己実現への命がけの挑戦だった」ということである。(「あとがき」より抜粋)

目次

第一章 咸臨丸、アメリカへ往く
 一 咸臨丸渡米の経緯と準備
 二 福沢諭吉の乗船実現
 三 咸臨丸の往路航海
 四 サンフランシスコにて

第二章 咸臨丸、帰還す
 一 木村摂津守の無念
 二 咸臨丸の出港
 三 咸臨丸、ハワイに寄港

第三章 その後の木村摂津守と福沢諭吉
 一 福沢諭吉の激怒
 二 今泉みねの話
 三 木村摂津守と福沢諭吉の最後の会話

木村摂津守の家族

解説 木村喜毅と福沢諭吉の絆(橋本 進)